Home » 中国企業が合同で“バーチャルアイドルファンド”立ち上げ 1億元規模


業界動向 2019.01.29

中国企業が合同で“バーチャルアイドルファンド”立ち上げ 1億元規模

2019年1月7日、中国・北京にて、「夢よ輝け・バーチャルアイドル発展ファンド メディア交流会(点亮梦想・虚拟偶像发展基金媒体畅谈会)」がKilaKilaにより開催されました。創設者兼取締役社長である劉子正氏はWeibo、KilaKila、奇光影業、HIDII嗨的、超次元など、10以上の企業と合同で中国国内初となるバーチャルアイドル発展に向けたファンド立ち上げを発表。合計約1億人民元(約16億円)規模の投資を行うことに加え、「各種育成計画および人材発掘により産業構造を作り上げ、バーチャルアイドル業界の成長を促進させる」計画を明らかにしています。

本プロジェクトの立ち上げに関わるKilaKila(克拉克拉、旧:红豆Live)は、18~25歳のユーザー向けのソーシャルコミュニティサービスです。「红豆Live」よりアップデートしたKilaKilaは2016年9月の公開以降、有名な声優、歌い手、コスプレイヤーを中心としたユーザーとそのファンを多数集めています。2017年5月からプラットフォームは生配信を中心としたものにシフトし、各種IPの誘致や声優によるイベント、ミニゲーム、アバターによる生配信機能等も追加されています。2019年1月現在、KilaKilaのMAUは1000万を超え、生放送、ショートムービー、対話型小説などのPUGC(Professional User Generated Content)が一体となった若者向けのバーチャルソーシャルコミュニティへと成長しました。

近年、バーチャルアイドル市場では、VOCALOIDである初音ミク洛天衣のような高コストかつハイクオリティなバーチャルシンガーよりも、バーチャルライバーが新しい形として様々なプラットフォームで活躍しています。時代が進むにつれて、人工知能のAIアイドルの概念も出現する中、キズナアイさんなどのバーチャルタレントも登場。このようなVTuber(バーチャルYouTuber)と呼ばれるバーチャルタレントはYouTubeのようなプラットフォームで動画を投稿し、生放送でファンとリアルタイムでコミュニケーションをとることも多くなりました。

日本では2018年12月までに、6000以上のこのようなバーチャルタレントが登場し、2017年12月から2018年6月までの統計では関連動画が2億4900万回再生されました。このVTuberのようなバーチャルタレントがファンにもたらす可能性、そして意外性によるストーリーは、好奇心の強い若者にとって非常に魅力的であるように思えます。

中国のバーチャルアイドル・タレント業界にも変化が

中国のバーチャルアイドル業界も変わりつつあり、バーチャルシンガーブームが去ったあとの2017年では、既存のIPを生かした「狐妖小红娘縁結びの妖狐ちゃん)」の涂山苏苏、「秦时明月(The Legend of Qin)」の高月公主、「灵契Spiritpact)」の主人公である端木熙杨敬华などが続々とデビューしています。2018年に入るとバーチャルライバーを中心にmomo酱奇光影业の石榴子などがライブ配信サイトに登場しました。

このように中国の内外問わず、映像作品やゲーム、プラットフォームを中心にバーチャルアイドル事業への参入が続々と増え、技術発展が続いています。そのような中、劉子正氏はメディア交流会において、中国のバーチャルアイドル事業には3つの壁があるとまとめました。「技術的なハードルの高さ」「運用コストの高さ」そして「マネタイズの難しさ」です。ですが、この3つを解決すれば市場としては十分期待できるものとなるでしょう。また、バーチャルアイドルは非常にZ世代(1995年以降生まれ)の嗜好に合致しており、また調査によるとZ世代は娯楽への消費がより大きく、新しいものを受け入れやすい傾向があるとのこと。こうしたユーザー層がバーチャルアイドル業界へ大きな可能性をもたらすことは、KilaKilaのプラットフォームでも検証されています。

上記のハードルを越え、チャンスを手にするために、KilaKilaはWeibo、超次元など十以上の企業と合同でバーチャルアイドル発展ファンド立ち上げを発表。1億元以上の資源を投入、各種サポートや人材発掘、優れたプロジェクトにより産業構造を作り上げ、バーチャルアイドル業界の成長を促進させる旨を掲げました。

3Dアバターモデルの新統一規格「OpenVIM」を発表、今後の発展に期待

劉子正氏によると、「同ファンドの運用は技術、資源の投入、運営サポートの三方向に分けられる。技術面としてはAIの応用を中心に、技術のシェアを通じてハードルを下げ、CUPやGUPの処理性能や3Dモデリングツール、そして3Dエンジンの技術の向上を目指す」とコメント。同時に、バーチャルアイドル発展ファンドはOpenVIM規格を公開し、全国の3Dアバターモデルの規格の統一を目指します。

資源に関してはWeibo、KilaKilaを活用してファンへ接触するチャンネルを増やし、奇光影业、HIDI嗨的といったMCNを活用してグループのサポートを行うとのこと。運営のサポートについても、若者全体へと市場を広げるために、オンラインとオフライン両方で様々なイベントを増やしていくとし、この三方向を組み合わせることで、バーチャルアイドル発展におけるハードルを乗り越えていくことを狙います。

こうしたバーチャルアイドル発展ファンドの技術・プロジェクトが進むにつれ、様々なパートナーが参加し、業界全体へ資金や技術、アイデア、人材、そしてプラットフォームのような全方位からの支えによって、業界全体が発展することでしょう。

バーチャルアイドルの概念が生まれてから10年以上が経つ中、初期の歌姫から今のバーチャルライバーまで、技術が進むにつれて、その内容も変化してきました。このような業界であるからこそ、バーチャルアイドル産業は力を合わせて共に発展し、突破口を拓くべきでしょう。そしてバーチャルアイドル発展ファンドは業界全体のためのよい循環を作り出し、Z世代が主力の若々しいネット文化であるバーチャルアイドルは、まもなく急成長をを迎えることになるものと思われます。

(参考)00ke


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード