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業界動向 2018.09.07

ANAとJAXA、宇宙へ VR活用の“テレイグジスタンス”宇宙関連事業立上げ

ANAホールディングス株式会社(ANAHD)と国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、“AVATAR X Program”(アバターエックスプログラム)を始動します。今後の宇宙関連市場の大幅な拡大を見据え、関連事業への参入を目指す企業・団体と連携。ANAHDの取り組む技術「AVATAR」を活用し、宇宙関連事業の立上げを目指すプログラムです。

「そこにいるかのような感覚をもたらす」技術

「AVATAR」とは、ANAHDが取り組んでいる「遠く離れた場所に、操作している人があたかもそこにいるかのような感覚をもたらす」技術です。またANAHDによるAVATAR事業への取り組みを「ANA AVATAR VISION」と総称しています。

現状のVRは視覚や音の体験が主流となっていますが、AVATARでは物体の温度や触った時の感触といった、様々な感覚を遠隔地で体験できるものを目指しています。

AVATAR Xでは、AVATARを活用し以下のような宇宙関連事業の事業化を目指しています。

(1) 宇宙空間における建設事業
(2) 宇宙ステーションや宇宙ホテルなどの保守・運用事業
(3) 宇宙空間におけるエンタテーメント

本プログラムは、まずは「コンソーシアム」という共同体にて第一歩を踏み出します。今後は事業会社化を視野に入れ、将来的には月面や火星などへ事業を展開していくことを目指すということです。

「AVATAR X」4つのステップ

「AVATAR X」は、主に4つのステップに分けて、その活動を推進します。

ステップ1

・各事業分野におけるコミュニティの形成を目的に、「AVATAR X」コンソーシアムを速やかに発足
・革新的な技術や知見を持つ新興スタートアップ企業や異業種企業を含め、産官学各方面より広く会員を募集
・「AVATAR X」コンソーシアムにおいて、AVATARを活用した宇宙関連事業の事業性検討や、事業計画・ロードマップの作成に着手

ステップ2

・2019年からの事業会社化を視野に入れながら、月や火星の宇宙環境を模した大分県内の技術実証フィールド「AVATAR X Lab@OITA」において、「地上での技術の実証実験と事業性検証」を行なう
・AVATAR技術を中心とする最先端技術の実証実験を行なうため、「AVATAR X Lab@OITA」にシンボル建造物を配置し、実証実験に必要な通信や研究設備などの環境を整備
・将来人類が宇宙空間で生活するために欠かせない5つの軸、(1)「探す・みつける」、(2)「楽しむ・学ぶ」、(3)「建てる」、(4)「暮らす」、(5)「医・食・住」を中心とした各種の事業性検証も併せて行なう

ステップ3

・2020年代序盤の開始を目指し、「宇宙空間(地球低軌道)での技術の実証実験と事業性検証」後、各事業を立ち上げ

ステップ4

・将来的に、これら事業を月面や火星にまで展開するフェーズとして想定


(AVATAR X LAB@OITA 全体イメージ)

「AVATAR X」参加表明企業・団体には、宇宙空間で撮影した画像のコンテンツ化を目指すSpaceVRや、テレイグジスタンス技術を用いたロボット「MODEL H」を手掛けるTelexistence株式会社なども名を連ねています。

ANAHDとJAXAは、「AVATAR X」を通じた新たな宇宙開発・利用関連事業の創出を、産官学にて連携して推進するとしています。

(参考)ANAホールディングス株式会社プレスリリース


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