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テック 2019.03.17

そうめんを食べるとラーメンや焼きそばの味 ARで錯覚を引き起こす

奈良先端科学技術大学院大学、電気通信大学及び東京大学の研究グループは、食べ物の上にAR画像を重ね、実際とは異なる物を食べているような錯覚を起こす研究結果を発表しました。ARにGAN(Generative Adversarial Network )を組み合わせ、リアルタイムに食べ物を別の食品に変換。食べている物ではなく、目に見える物の味を感じさせることに成功しました。

静止画の重畳では限界

研究の背景について、グループは「好きなものを食べる喜びは代えがたいものだが、様々な理由からそれがかなわない人もいる」と指摘。人の味覚を操作し、実際とは異なる物を食べている錯覚を起こそうとしたといいます。

3D画像を重ねて食品の外観を変えることで、味覚を操作できることはこれまでにも知られていました。しかし、単に3D静止画を重ねるだけではうまくいきません。たとえば食品をつかもうとした箸が画像を通り抜けてしまう、つかんでも画像に変化がない、などの問題が発生します。

そこで用いたのが、GANベースのシステムです。GANはディープラーニングに必要なデータ量を削減する仕組みで、フレキシブルな味覚の操作が可能になります。グループはGANを用いて、リアルタイムに食べ物を別の物に変換。かき混ぜたりすくったりする動作も、遅延なくAR画像に反映されるようにしました

素麺がラーメンや焼きそばに

実際のテストは次のように行われました。被験者はVRヘッドセットVIVE Proを装着。デバイス越しに見ながら、食べ物を口にします。するとラーメンの画像が重畳した「素麺」を食べた被験者は、ラーメンの味を感じました。
また同様に、素麺を焼きそばに感じさせることにも成功しました。

麺だけでなく白飯でも同じテストを実施。その結果、カレーライスやチャーハンだと錯覚させる成果を得ました。
ただし被験者によっては、「以前に自分が味付けを忘れたときのチャーハンの味がした」と、意図した錯覚が起きない場合もありました。これについて研究グループは、視覚によって効果的に味覚を操作可能だが、一方で個人の経験の影響も大きい、とコメントしています。

(参考)YouTube


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