Home » VR/AR/MRのリスクを最小化し活用するには? アクセンチュアがレポート公開


業界動向 2019.05.17

VR/AR/MRのリスクを最小化し活用するには? アクセンチュアがレポート公開

大手コンサルティングのアクセンチュアとG20の若手起業家連盟は、XR(VR/AR/MR)ビジネスに関する調査レポートを作成、その内容を公開しました。本調査では「XRの導入が加速する中で、従来にはなかった物理的、心理的および社会的リスクをもたらす可能性がある」ことを明らかにしています。調査レポートはこちらから。


(アメリカの市場調査会社IDCの調査によれば、2023年には企業支出は消費者支出の3倍に相当する1,210億米ドルに達する見込み)

アクセンチュアの分析によれば、「2014年から2016年までの間にARやVRに関連する特許出願数は、5倍近い6,000件以上に増加しており、この間の関連スタートアップ企業の資金調達額は237%増となった」とのことです。

新たなリスクをもたらす可能性

本レポートでは、体験学習やトレーニングでの活用、製造、顧客体験、医療などでXRの導入が進んでいる一方で、XRツールの持つ力や親しみやすさが個人や社会に新たなリスクをもたらす可能性があると指摘しています。レポート内で指摘してきしているリスクは以下の4つです。

・個人情報の悪用
・フェイク体験:体験を通じて行動や意思決定に影響を与えやすくなる
・サイバーセキュリティ:アバターを使用しての新たな犯罪が生み出される可能性
・反社会的行為:仮想環境での反社会的行為が現実社会の行為にまで紛れ込む可能性

さらに本レポートでは、人々の過度なテクノロジーへの依存や、現実の社会問題との関わりを断つことにつながりかねないリスクも指摘しており、 XR活用機会の差が消費者関係や就業機会を失うことにつながり、社会の分裂を増幅させかねないというリスクも示しています。

警戒システムの構築や従業員への投資が必要

アクセンチュアは、このようなリスクを受け止めたうえで、XRを企業で活用していくために以下のような行動が必要であると提示しています。

独自の早期警戒システムを構築

まず、ビジネスリーダーは急速なイノベーションのもとですぐに陳腐化するようなルール作りではなく、倫理的視点を日常業務や重要な意思決定に習慣的に組み入れるといった、いわゆる「責任意識のある文化」を醸成すべき、とのこと。

責任あるデザインのために多様なエキスパートを動員

次に、企業は神経科学やメンタルヘルスの専門家、社会学者、行動理論の専門家などの領域を含めたエコシステムを組織化し、XRツールの責任ある設計や利用を強化するべき、とのことです。

従業員の能力の強化に投資

最後に、従業員の生産性向上やトレーニングにターゲットを定めてXRへの投資を行うこととのことです。アクセンチュアは自動化の波に最も晒されている職種こそ、没入型技術によって拡張できる場合が多く、「消滅の危機に瀕した職種」を「未来の職種」に転換することが可能、としています。

政策立案者向けの提言も

また、本レポートでは政策立案者に対しても、以下のような提言を行っています。

・誰でも手頃な費用でアクセスできるようにする:5Gのようなインフラを拡大させる
・地域のイノベーターや起業家を奨励する:環境を整え、地域密着型のソリューションを生み出していくことが重要
研究や議論を促進する:必要な共通理解や指針の構築に取り組むことが必要

アクセンチュア・インタラクティブでコンテンツイノベーション部門を統括するロリ・デュボフ氏は、「XRには計り知れない可能性があり、私たちは過去のさまざまな失敗から学ぶことで、より解放的で責任ある世界や体験をデザインすることが求められます」とコメントしています。

本レポートの詳細および調査の内容はこちらから閲覧できます(※2019年5月17日現在、日本語版は追って公開予定とのこと)。

(参考)アクセンチュア株式会社 プレスリリース


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード