2026年5月、脳とコンピューターをつなぐBCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェース)を手がけるニューラリンクは、トロント大学医療ネットワーク傘下のトロント・ウェスタン病院で、臨床試験を実施しました。
同社は、硬膜を除去せず貫通させて電極を埋め込む経硬膜手術という新しい手法で、脳インプラント手術に初めて成功したと発表しています。目的は、手術による外傷を軽減しながら拡張性を高めることです。
硬膜は頭蓋骨のすぐ下にある厚みのある膜で、電極糸の10倍以上の厚さです。従来の臨床試験では、硬膜を除去したうえで電極糸を脳に埋め込んできました。硬膜の下では脳が常に動いています。危険な血管網も隠れているため、これを避ける必要があり、手術の難易度を高める要因でした。
ニューラリンクは、硬膜をより容易に貫通できるよう挿入針を再設計しました。あわせて合成硬膜モデルを開発し、硬膜下の脳をより鮮明に観察する画像システムの試験に役立てています。新しい手術法では、蛍光色素を使って血流をリアルタイムに映し出すICGビデオ血管造影と、硬膜下で動く脳表面までの距離を正確に測定する光干渉断層撮影法、OCTを組み合わせました。被験者は手術後1時間以内に、思考でカーソルを操作できるようになりました。回復は想定通りに進んでいると、同社は説明しています。
https://www.youtube.com/watch?v=F8p2MamNBgE
硬膜を除去する工程を省くことで、手術自体も簡素化されます。同社は、硬膜切除術を省略することで手術の中でも特に繊細な手技の一つが不要になるとし、より安全で再現性の高い手術を実現すると表明。ニューラリンクを多くの人々に広げるための道筋になるとの見方を示しました。
参考
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