バーチャル領域の担い手に向けた業界カンファレンス「XR Kaigi 2025」が、2025年12月1日から3日にかけて開催されました。
会場は東京ポートシティ竹芝。バーチャル領域で活躍する開発者やクリエイターだけでなく企業のマーケティング担当者や学生など大勢が来場し、賑わいを見せていました。本記事では、その2日目と3日目にエキスポエリアにて行われた展示の中から、ブースに展示された注目のデバイスや最新技術をピックアップしてご紹介します。
【KDDIテクノロジー】Skyworth社製AIグラス&裸眼立体視ディスプレイ「MOPIC Lhotse 65インチモデル」
KDDIテクノロジーのブースで展示されていたのは、AIグラスのプロトタイプ機と裸眼立体視ディスプレイです。
まず、現状未発表のAIグラスのプロトタイプ機は、Skyworth社製のもので、見た目は普通のメガネと変わりません。一般的なARグラスに搭載されているようなディスプレイはなく、スピーカーとカメラとマイクだけで構成されています。
このデバイス最大の特長は、インターネット接続が不要な「ローカルLLM(大規模言語モデル)」を搭載している点です。
このオフラインのローカルLLMが入っていることで、社内の重要機密やプライバシーに関わる情報が外部に漏れる心配が無く、それでいて各企業の重要な仕事のノウハウをAIにアップロードして、社内教育や情報管理に役立てることができます。
本体左上のボタンを押して話しかけると、AIが音声で返答してくれます。AIとのやり取りは連携したスマートフォン上にも表示されるのですが、たしかに機内モードの状態でも動作しています。しかも返答の出力が即座に行われるため、そのレスポンスの速さには驚かされました。
【Skyworth社製AIグラスの主な特徴】
- 重量:42g
- 内部ストレージ:32GB
- AI機能:オフライン環境でも対話可能。
- 撮影機能:1回の充電で写真1,000枚以上、動画は連続12分まで収録可能。
- その他:スマホ連携による通話・音楽再生に対応。
もう1つの展示は、裸眼立体視ディスプレイ「MOPIC Lhotse 65インチモデル」。
こちらはヘッドセットやグラスなどのデバイスを装着することなく、裸眼で立体映像を体験できるMOPIC社製のディスプレイです。KDDIテクノロジーが注力している3Dスキャン技術を活用したデモアプリが動作しており、コントローラーを操作して画面内の空間を自由に移動することができました。
この裸眼立体視ディスプレイは、センサーと連携することでインタラクティブなコンテンツも開発可能。博物館や展示会での利用、トレーニングコンテンツの開発といった幅広いユースケースが想定されているそうです。
【HappyLifeCreators】世界最小級スマートディスプレイ「GUIDE01」
HappyLifeCreatorsが展示していたのは、「世界最小級」を謳う同社のスマートディスプレイ「GUIDE01」。
スマートグラスのようなメガネ一体型デバイスではなく、通常のメガネに装着して使用するタイプのディスプレイです。テンプル(つる)が極端に細いものでなければ、基本的にはどのようなメガネにでも装着可能とのこと。
驚くべきは、その軽さです。
その重量、わずか10g。
軽量かつコンパクトな単眼式タイプのディスプレイなので、表示できる情報はそう多くありません。ですが、画面の鮮明さは想像以上。実際に試してみたところ、時計の数字や文字もくっきりと映し出されており、問題なく読むことができました。
GUIDE01はiOS・Androidの両方に対応した専用アプリと連携して使用でき、後日SDKも公開予定とのことです。
10gという軽さはもちろんですが、現在主流のスマートグラスとは一線を画す、マンガや映画に出てきそうなデザインに魅力を感じる人も多いのではないでしょうか。普段使い以外にも、謎解きゲームやイベント演出などでも活用できそうな、高いポテンシャルを秘めた製品だと感じました。現在、クラウドファンディングも実施中です。
【主な機能】
- 明るさ調整
- 画面オフ時間設定
- 時計表示
- AIリアルタイム翻訳
- マップナビゲーション
- スマートフォン通知表示
【Diver-X】グローブ型VRコントローラー「ContactGlove2」&モーションキャプチャシステム「MoA」
数々のユニークなXRハードウェアを世に送り出しているDiver-X。今回、同社のブースではグローブ型VRコントローラー「ContactGlove2」のVR体験に加えて、モーションキャプチャシステム「MoA」を活用したVTuber体験デモを実施していました。
触覚フィードバックを搭載し、指を曲げるような動作も高い精度でトラッキング可能な「ContactGlove2」。多くの来場者が体験に訪れていましたが、同時に同ブースで注目を集めていたのが、モーションキャプチャシステム「MoA」のデモンストレーションです。
(頭・腰・両足にVIVE Ultimate Trackerを、両手にContactGlove2を装着して動くスタッフさん(右)と、その動きをリアルタイムでキャプチャするMoAの画面(左))
スタッフさんの動きと連動する画面上のアバターを見ると、全身にマーカーが付いたスーツを着ることなく、最小限の6点トラッキングでありながら、高い精度で全身の動きをキャプチャしていることがわかります。
また、トラッキング精度の高さだけでなく、このシステムの強みはコストパフォーマンスの良さにあるとのこと。専用スタジオや大掛かりな準備は必要なく、場所を選ばずに高精度なモーションキャプチャシステムを導入できます。そのため、小規模なVTuber活動や、設備投資が難しい制作会社での利用を想定しているそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=fMrgB8AngCQ
【KIWI DESIGN (HONGKONG) LIMITED】Meta社およびPico社製ヘッドセット対応アクセサリー
「Made for Meta」の公式パートナーでもあるKIWI DESIGN (HONGKONG) LIMITEDは、ヘッドストラップやコントローラーグリップをはじめとする、Meta社およびPico社の各ヘッドセットに対応した最新アクセサリーを展示していました。
KIWIと言えば、Amazonストアなどで多数のVRアクセサリーを販売していますが、バリエーションが豊富な上にひとつひとつの品質が良いため「かゆいところに手が届く」商品を提供している印象です。Metaの公式パートナーとして認められているのも、Meta Quest関連のアイテムが非常に充実していることが大きな理由になっていると思われます。
同社の製品の特長は、快適性と没入感を両立する、人間工学に基づく設計と高品質な素材選びにあります。展示物を見ると、たしかにその多くにクッション性の高い素材が採用されていることがわかります。
実際に試してみると、少なくともこれまでの「VRヘッドセットをかぶる」というシーンでは過去に体験したことのない、やわらかな装着感でした。例えるならば、映画館のラグジュアリーシートに初めて座ったときの感覚に近かったかもしれません。
スタッフさんによると、ベッドで寝たり、横になったりする姿勢での使用も想定して開発されている製品もあるそうです。
本記事でご紹介できたのは、全72ブースのうちのほんの一部に過ぎません。エキスポエリアは連日大勢の来場者で溢れ、熱気で満たされていました。
会場には最新のハードウェア以外にも、防災や安全教育といったXRコンテンツ、生成AIや3Dスキャン技術を応用したソリューション、そしてエンターテインメントとしてのメタバースやVRゲームなど、多岐にわたる展示が並んでいました。
XRという技術が、着実に私たちの生活とビジネスに定着しつつあることを実感させられた、今年のXR Kaigi。次回はどのような景色が見られるのか、今から楽しみです。









