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もぐラジオ 2025.11.15

Meta Quest 3を持っているなら絶対にやらないといけないアプリとは?【Podcastもぐラジオ要約版】

XR/メタバース/VTuber専門メディア「Mogura VR」は毎週、Podcast「もぐラジオ」を配信中。「テック・コンテンツ業界の最前線を掘る」というコンセプトのもと、すんくぼ(Mogura VR 編集長)とゆりいか(Mogura VR 副編集長)が業界の注目トピックを語ります。

この記事では、最新回(#194)の内容をかいつまんでお届けします。

ゆりいか:皆さんこんにちは。XR・メタバース・VTuberの今を伝えるポッドキャスト「もぐラジオ」です。パーソナリティは、副編集長のゆりいかと、

すんくぼ:編集長のすんくぼでお送りします。

ゆりいか:第193回のテーマは「Meta Quest 3を持っているなら絶対にやらないといけないアプリ」です。

Meta Quest 3のマストアプリ

すんくぼ:今日のテーマは「Meta Quest 3を持っているなら絶対にやらないといけないアプリ」です。

ゆりいか:強く出ましたね(笑)。

すんくぼ:これはマストです。絶対にやった方がいい。このネタを決めたのは僕ですが、打ち合わせ中にゆりいかさんがまだやっていないことが発覚しまして。

ゆりいか:一部の機能は試したのですが、肝心のところは未体験でした。申し訳ないです。

すんくぼ:隣にいるゆりいかさんからして「やらないといけない」アプリです。

ゆりいか:はい。

すんくぼ:このアプリは、Meta Quest 3やQuest 3Sを持っている人なら、みんなやった方がいいです。なぜなら無料アプリだからです。失うものはありません!
そして、かなりの確率で「おおっ」と驚けます。僕らも仕事柄、新しい体験に慣れてきて、初めてVRをやった時のような新鮮な驚きは減ってきました。

ゆりいか:そうですね。

すんくぼ:久々に「おおっ」と思えるアプリでした。だから、Questを買ったばかりの方なら、その驚きはもっと大きいはずです。今すぐこのポッドキャストを止めてダウンロードしてもらっても構いません。

『Hyperscape Capture』とは? 使い方と体験

すんくぼ:今日紹介するのは、VRヘッドセットをかけながら3Dスキャンをして、その世界にVRでダイブできるアプリです。

ゆりいか:正式名称は『Meta Horizon Hyperscape Capture (ベータ版)』ですね。

すんくぼ:ベータ版ですが十分すごいです。

ゆりいか:名前だけでは何をするアプリなのかは分からないですね。

すんくぼ:この「化け物アプリ」について話します。これはMeta Quest向けに配信されている無料アプリです。

まず、Meta Questを買います。OSを最新版(v81など)にします。これはデバイスによって配信タイミングに差があるかもしれません。次に、アプリを無料でダウンロードして起動します。すると、ヘッドセットをかぶったまま部屋がパススルー(現実の映像)で見えます。MRモードですね。

すんくぼ:その状態で、床や壁、家具などがメッシュ(網目)で覆われています。ヘッドセットを被ったまま歩き回り、視界でそのメッシュを塗りつぶしていく感覚です。この作業を、最初は大雑把に、次は細かく、最後は天井、というように2〜3回繰り返します。僕は家のリビングと自分の部屋でやりましたが、一部屋分くらいなら問題なくできます。この撮影工程は、大体5分から10分で終わります。

ゆりいか:おぉ、はやい。

すんくぼ:ヘッドセットをつけたまま歩くだけですからね。撮影が終わると、サーバーへのアップロードが始まります。この時はヘッドセットを外しても大丈夫ですが、電源は切らないでください。データがサーバーにアップロードされ、処理が始まります。公式には最大8時間待つとされています。

ゆりいか:8時間は長い!

すんくぼ:一晩寝かせる感じですね。僕は朝に撮影して、仕事から帰ってきて被ると出来上がっていました。メニューから撮影したデータを選ぶと、スキャンした世界が3Dになって、その中を歩き回れるんです。

ゆりいか:自分だけのバーチャル空間ができるわけですね。

すんくぼ:そうです。これは、今までのフォトグラメトリー(写真から3Dモデルを作る技術)とは違い、最新の「3Dガウシアン・スプラッティング」という技術が使われているので、とても綺麗です。

僕は自分の部屋を撮りましたが、パソコンの画面に何のアプリが開いているか認識できるくらい綺麗に撮れました。部屋の雰囲気や光の入り具合も含めて、かなり高精細に3Dスキャンできます。もう、感動です(笑)。


すんくぼ:3Dスキャンに詳しくない人でも、その簡単さに驚くはずです。被って、歩き回るだけ。やり直しにもなりません。そして、撮影したVR空間に、そのままVRで入れる。この体験までのハードルが極めて低いんです。

例えば「Scaniverse」のようなスマホアプリでスキャンしても、データはスマホの中にあります。VRで入りたいと思ったら、データを変換したり、Unity(ゲーム開発環境)と格闘したり、かなり大変です。このアプリは、VRで撮ってVRで見れる。Quest 3Sなら約5万円、Quest 3でも8万円程度です。このヘッドセットと無料アプリだけで完結します。持っている人がやらないのは損だと思います。

ゆりいか:今まではVR空間に「入る」という感覚だったのが、自分で「作って入れる」ところまでできるのが面白いですね。

支える新技術「3Dガウシアン・スプラッティング(3DGS)」

すんくぼ:そもそも「なぜヘッドセットで撮るのか」という話ですよね。3Dスキャンといえばスマホや専用のカメラ、360度カメラなどを使うのが普通でした。いきなりこのキャプチャーアプリが出てきたわけではなく、話は1年前に遡ります。2024年のMeta Connect(Metaの開発者会議)で、『Hyperscape』というアプリがアナウンスされました。

ゆりいか:プレビュー(Preview)版ですね。

すんくぼ:当時、僕も現地で体験しました。その時はスマホアプリだと説明されていましたが、まさに「3Dガウシアン・スプラッティング」という技術を使い、数時間かけてスキャンと処理を行った、非常に高精細な実写ベースの3D空間でした。

ゆりいか:ザッカーバーグの会議室や、おしゃれなオフィスが公開されていましたね。

すんくぼ:当時は見るだけでしたが、そのプレビュー版だけでもすごかった。3Dガウシアン・スプラッティング(3DGS)は、従来の技術より処理が速く、クオリティが高いのが特徴です。それが1年で、今度は「撮る方」までリリースされて、しかもヘッドセットで撮れるようになったという流れですね。

ゆりいか:3Dガウシアン・スプラッティング、略して「3DGS」とか「ガウス」とか呼ばれていますが、ちょっと呼びにくい名前ですよね。

すんくぼ:メディアとしてはタイピングしにくくて困ります(笑)。3DGSは「複数の写真からリアルで高精細な3Dシーンを高速に生成する新しい技術」です。非常に滑らかな表現が可能で、特にガラスや水、鏡といった、従来のメッシュ(ポリゴン)では表現しきれなかった透明なものや反射を綺麗に描けるのが特徴です。

ゆりいか:そうですね。今までのスキャンはどこかカクカクしていましたが、3DGSは空間の空気感まで残せるような取り方ができます。

すんくぼ:ベースは写真や動画です。2023年頃に論文が出てきた新しい技術で、それを各社が一気に商用化に動きました。

最初にスマホアプリに搭載したのは、Niantic Spacialの「Scaniverse」でした。他にも動画を処理して3DGSデータを作るソフトウェアなど、今まさに応用が進んでいる途上です。

ゆりいか:最近では「Arrival Space」というメタバースプラットフォームが、3DGSでスキャンしたデータを直接アップロードして、アバターで歩き回れるようにもなっていますね。

すんくぼ:これまではスキャンした後の「出口」(データの使い道)が課題でした。従来のフォトグラメトリーは汎用的な3Dデータ(FBXやOBJ)にできましたが、3DGSはデータの取り扱いが難しかった。最近はその出口が開拓され、ブラウザで見たり、VR Chatに持ち込んだりする人も出てきました。高価な機材が必要だった3Dスキャンが、スマホの無料アプリでできるようになり、一気にハードルが下がっています。

そのホットな技術を使ったのが、今回の『Hyperscape Capture』だと。昨年はスマホアプリと言っていたので、まさかヘッドセットで撮影するとは思いませんでした。

ゆりいか:ヘッドセット内で自己完結するのはすごいですね。

すんくぼ:スマホより安いですからね(笑)。

なぜ「Horizon」の名が? メタバースの未来

すんくぼ:このアプリが今後どうなっていくのか。今の段階では、撮ったデータはアプリの中でしか見れず、ダウンロードもできません。

ゆりいか:はい、この中だけです。

すんくぼ:ですが、Metaがこれで終わりにするはずがありません。ヒントは発表時の文脈にあります。

ゆりいか:いつの発表ですか?

すんくぼ:今年(2025年)のMeta Connectでこのアプリが発表された時、AIやグラスの話が中心でしたが、この話は「Horizon」の文脈で出てきました。

ゆりいか:ああ、メタバースプラットフォームの。

すんくぼ:そうです。Metaのメタバース「Horizon Worlds」のアップデートの話の中で紹介されたんです。

ゆりいか:なるほど。

すんくぼ:そして、アプリの正式名称は『Meta Horizon Hyperscape Capture』です。Metaが「Horizon」という名前を使う時は、メタバースやバーチャル空間のシステムを指す時です。「Quest」はデバイスの名前ですよね。

ゆりいか:そういうことか。

すんくぼ:今年のHorizon Worldsの発表は、AIでプロンプト(指示)を打つとワールドが生成される、という話が中心でした。その中で、実写ベースのワールド生成の話としてこれが出てきた。

そうなると、まずは「共有機能」が来ると思います。今のデータは撮った本人しか見れませんが、URLで友達や家族に送って見れるようにする機能です。公式情報でも「近日対応予定」として「友達とシェア」が挙げられています。

次は「マルチ」です。スキャンした空間に、誰かと一緒に入る。これができた瞬間、そこはもうメタバースです。

ゆりいか:そうなってしまいますね。

すんくぼ:それが単独アプリか、Horizon Worldsに統合されるかは分かりませんが、名前からもその構想がうかがえます。

ゆりいか:今までのHorizon Worldsは、クリエイターが0から3DCGで作る必要がありましたが、スキャンした実写データをそのままワールドとして公開できるなら、ワールド数が爆発的に増えるかもしれません。

すんくぼ:まるでGoogle マップのように、地球上のマップが実写で埋まっていく感覚ですね。今まで実写ベースのメタバースは、技術的なハードルや精度が問題で、やりきれたサービスはありませんでした。

ゆりいか:ピラミッドにみんなで行こう、というのをCGで作らず、現地でスキャンすれば済んでしまうのか……。これ、未来が変わりますね(笑)。

すんくぼ:そうなると、単なる交流場所としてのメタバースを超えて、現実の様々な場所や、過去の空間に行けるプラットフォームになります。

ゆりいか:写真や動画の「空間版」ですね。

すんくぼ:100年後に、今の僕らが撮った空間を見れるわけですね。おじいちゃんがPodcast取っているときのスタジオはこうだった……とVRで見せられる。

現実を「スキャン」する技術の汎用性

すんくぼ:こうした「空間を共有する」概念は、過去にもありました。例えば、Microsoftの「Microsoft Mesh」です。

ホロレンズ(MRデバイス)の頃に発表された当初の概念は、まさにビジネス文脈で、自分の空間をスキャンしてアバターで遠隔会議するというものでした。残念ながら元々のコンセプトは実現せず、サービスはクローズしてしまいましたが。

ゆりいか:ありましたね。

すんくぼ:他にも、フィンランドのVarjoという会社が「テレポート」というサービスを発表していました。これもヘッドセットで自分の空間をリアルタイムにスキャンし、遠くの人と共有する技術でしたが、今は単なる3Dスキャンサービスになっています。夢のようなコンセプトでしたが、実現の手前で止まってしまった。そこに、まさかのMetaが入ってきたという状況ですね。

ゆりいか:こうなると、活用の幅はメタバース交流に留まりませんね。デジタルツイン(現実空間をデジタル空間に再現する技術)的というか、何にでも使えますよね。

すんくぼ:技術はまず「できるようになった」と汎用化が先に来て、後から「これに使える」という活用法が生まれます。これは圧倒的にいろいろなことに使えるはずです。
身近な例では、不動産の内見ですね。1億円の買い物を、これで内見できたら最高です。

ゆりいか:今までの360度動画とは違って、空間が取れるならそれでいいですもんね。他には、文化遺産のアーカイブとかですかね。あと、結婚式場の保存とか…。個人的な思い出の空間を残すことにも使えます。

すんくぼ:引っ越す前の家とか、子供が小さい頃の部屋とか。今までは「いつか出口(見る方法)ができるから」とデータを残していましたが、このアプリは最初から出口があります。

実家に帰った時にスキャンして、戻ってからVRで入ってみる。この感覚は、今までの技術のキャズム(溝)を超えた感じがします。

ゆりいか:業界問わず、色々なアイデアが湧いてくるはずですね。

すんくぼ:もちろん精度の限界はあります。建築現場のミリ単位の計測は無理でしょうが、「5cm、10cmの誤差ならOK」という用途なら、これで良いとなります。

例えば、横浜にある「イマーシブジャーニー」という体験施設があります。エジプトのピラミッドの中や、印象派の画家たちがいた頃のパリの様子を体験できますが、あれもCGで作られています。

ゆりいか:1から作らないといけなかった。

すんくぼ:それがスキャンデータで簡単にできるようになれば、世界が変わるんじゃないかなとおもいます。

ゆりいか:過去にも現在にも、行けない場所にも行けるようになりますね。

すんくぼ:先日、テレビ番組で芸人さんがバングラデシュの辺境に置かれる企画がありましたが、スタッフがこれでスキャンすれば、視聴者もその場をVRで体験できる。今までは撮影や編集に時間がかかりましたが、これなら「撮って出し」に近いです。

無料の今こそ体験すべき理由と注意点

すんくぼ:もうひとつ話したいことが、現実世界を3次元データ化できることですね。

このデータを、さらにAIに学習させることもできます。ナイアンティックなどが「LGM(ラージジオスペシャルモデル)」や「ワールドモデル」と呼んでいる、現実の3次元構造をAIに理解させるためのデータになるんです。このスタジオの空間をスキャンして、「これをベースに装飾するアイデアを出して」とAIに指示し、VRでチェックする、みたいな。

ゆりいか:この空間を使ったゲームを作ってみて、とかもできると……やりたくなりましたね。

すんくぼ:ぜひご家庭のQuest 3でやってみてください。ただ、これだけすごいものが無料というのは、ちょっとおかしい気もします。処理に最大8時間かかりますが、その間、Metaのデータセンターのプロセッサーが動いているわけです。これは、動画生成AIの「Sora2」が膨大な電力を消費しているのと同じ匂いがします。

ゆりいか:サーバー費用が怖いですね。

すんくぼ:今はベータ版の実験だから許されていますが、有料化されたり、サステナブルなビジネスになるかは分かりません。

ゆりいか:急にビジネス向けに月額数百万円、とかなるかもしれません。

すんくぼ:僕らがこうして煽ったせいで日本での利用者が増え、サーバーが悲鳴を上げてベータ版が停止する、なんてこともあり得ます。だからこそ「今」やった方がいいです。1ヶ月後には無いかもしれない。Quest 3や3Sを買った意味がないくらい、やらないと損です。このデバイスを買った意味がないです!

ゆりいか:すごいな、これは(笑)。買ったときとは違う需要が出てきたってことですね。

すんくぼ:ただし、気をつけた方がいいのは、撮影後の処理はすべてクラウドで行われることです。データがMetaに送られるわけですね。著作物が映っていないかというアラートは出ましたが、あまりにもプライベートな空間や、万が一他に見られたら困る場所は避けた方がいいです。

ゆりいか:個人情報ですからね。

すんくぼ:そのリスクをあえて負う必要はありません。ですが、ホテルの一室とか、何かしら安全な場所でチャレンジはした方がいいと思います。

XR Kaigi 2025で「3Dガウシアン・スプラッティング」の最新情報をチェック!

すんくぼ:さて、今日は3DGSの話をしてきましたが、関連する告知があります。我々Mogura VRが毎年開催している「XR Kaigi」が、今年も12月1日から3日に開催されます。

ゆりいか:詳細が11月4日に出ましたね。

すんくぼ:はい。今年のXR Kaigiにはいくつかの重要なテーマがありますが、その一つが、まさに「3Dガウシアン・スプラッティング」です。

ゆりいか:業界として押さえてください、ということですね。

すんくぼ:3DGSが3Dスキャンの世界を変え、デジタルツインに繋がっていく。この領域が今年の大きなテーマの一つです。VR Chatにデータをアップロードしている方や、国土交通省の「プロジェクトプラトー」関係の方々にもご登壇いただきます。

また、今日は空間のスキャンでしたが、「人体」をキャプチャーする技術もあります。万博で話題になった、落合陽一先生のパビリオンで使われていた、人間を3DGSでキャプチャーする技術です。

ゆりいか:オープンソースで公開されてニュースになっていました。

すんくぼ:その研究室の方々による講演もあります。3Dスキャン三昧ですので、興味がある方はぜひXR Kaigiもチェックしてみてください。

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