ARグラス用ディスプレイの開発を手がける日本のスタートアップCellid株式会社は、高輝度化を実現した新たなARグラス用レンズ2製品を発表しました。あわせてAR映像の表示品質を向上させるソフトウェア技術も公開し、ハードとソフトウェアの両面からARグラスの普及を推進する、としています。

(米国で開催中のAWE USA 2025で展示されていた新製品)
ARグラス向けのディスプレイ技術はグラス型の形状に小型軽量なディスプレイを組み合わせつつ、ニーズに合わせた品質が求められるため技術開発が盛んな領域です。品質に影響する要素も、解像度、視野角、輝度、色収差(色ムラ)、歪みなど様々で、それぞれトレードオフも相まって競争が激化しています。
今回、Cellidが発表したレンズは、プラスチック製ウェーブガイド「R30-FL (C)」とガラス製ウェーブガイド「C30-AG (C)」の2種類。前世代比でそれぞれ約2倍、約3倍の輝度を実現しているとのことです。いずれも薄型軽量ながらフルカラー表示に対応し、明るい環境下でもAR映像が見やすくなるとされています。
あわせて発表されたAR映像の表示品質を向上させるソフトウェア補正技術は、光の干渉などにより生じる色ムラや歪みをソフトウェアで補正するもので、従来ハードウェアのみでは対処が難しかった画質の問題に対応。表示特性を高精度に測定し、最終的にユーザーが見る映像を最適化する処理が行われるとのことです。
同社は今後、補正用の測定技術の内製化や高精度化、補正アルゴリズムの高度化によって、端末ごとの個体差や使用環境の変化に対応可能な「スマート補正」を目指す、としています。また、補正機能のチップ実装によるリアルタイム処理や、省電力化、スマートフォンからの制御などの開発も進める予定です。
Cellidは現在、ARグラス向けの光学系の要素技術開発に注力しています。レンズに加えて今後はプロジェクターも自社開発を進めていく、とのこと。一方で、現場での利用促進を見据え、事業会社とは要素技術だけでなく最終的なARグラスを見据えた実証実験を進めています。小回りがきくスタートアップだからこそのアプローチと言えます。

(AWE USA 2025で展示されていた台湾のスマートグラスメーカーPegatronと共同開発しているARグラスのプロトタイプ。70g程度とAIグラス「Ray-Ban Meta」よりも軽量ですが、ディスプレイを搭載している。装着感は良好だった)
今回の発表に合わせて、同社代表取締役CEOの白神賢氏は、目の動きにより色ムラの見え方が変わる点に言及し、今後は視線追跡機能との連携による最適な補正や、ユーザー体験の向上を目指した統合モジュールの開発にも取り組む、とコメントしています。
(参考)プレスリリース