オーストラリアのワインブランド19 Crimesは、ワインボトルのラベルを通じてAR体験を提供しています。19 Crimesが提供するのは、ARアプリ“Living Wine Labels”。ワインボトルのラベルにスマートフォン等をかざすと、ラベルに描かれた人物が自らの物語を語る、という内容になっています。このコンテンツは、人々にどのように訴求しているのでしょうか。
ワインラベルに住まいをかざすと……
同社のグローバルブランドディレクターDoug Altmeyer氏は次のように説明します。「AR導入以前、19 Crimesは熱狂的なファンに支えられるブランドでした」「我々は沢山の口コミを得ていました。しかし“Living Wine Labels”のアプリを開始すると、その口コミは吹き飛んでしまいました。消費者は話しかけるラベルを友人に見せたり、ARをパーティーで披露したりしたのです。見た人は皆、『ワオ! ワインブランドがこんなことするのは初めて見た!』と言います」
米国スーパーマーケットチェーンの反応
このARラベルの効果について、メディアForbesは米国のスーパーマーケットチェーンPublixのチェーンアカウントマネジャーCarl Raeckers氏にインタビューを行いました。
以下はその要約です。
——19 crimesのARワインラベルは、同ブランドのワイン売上アップに繋がっていると思いますか?
- Raeckers氏:
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もちろん。ワイン・スピリッツ業界では、商品を売るためにストーリーが必要なのだ、と強調したいです。19 Crimesはワイン、ヴァラエタルワイン(Varietal wine、ラベルにブドウの品種名が記載されたワイン)、キャッチーな名前、素晴らしいラベル、優れたストーリーを有しています。そしてこのARアプリが全てを一つにまとめています。
——ミレニアル世代がワインを選ぶ際、どのようにスマートフォンを使っているのでしょうか?
- Raeckers氏:
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個人的に思うのは、ミレニアル世代もその他の消費者も、19 Crimesや他のブランドAR付商品が出回ってきて、スマホをそちらに向けるようになったということです。
(中略)ミレニアル世代はLiving Wine Labelsのような(手軽な)アプリでワインの世界に足を踏み入れ、ワインを飲むライフスタイルができていくにつれ、VivinoやCellar Trackerといったアプリに転向していくと考えます。
——このクールなアプリは、ワインの購入にどのくらい影響力を持ちますか?
- Raeckers氏:
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私個人としては、ほとんど影響がありません。それは、私が仕事上業界や製品の知識を持っているためです。しかし大半の人、特に私の同世代やその下の世代においては、インタラクティブなアプリがワインの購入決定に大きな影響力を持つと思います。
——アプリは、Publixのワインバイヤーの仕入に購入するのにどの程度影響力を持ちますか?
- Raeckers氏:
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先を見据えたバイヤーチームやバイヤーは、このようなタイプの「アドオン」を、ブランドや製品のセールスポイントだと捉えます。(中略)
(価格から品質がある程度分かるとした上で)品質が重要な要素から除外されるとしたら、産地、名前、ラベルやストーリー等が大事になってきます。そしてこれらを全て束ねるアプリがあるとしたら、それはスマホユーザーを巻き込む戦略になるでしょう。
アプリのダウンロードはこちら(App Store/Google Play)から。
同様に製品ラベルからARを楽しむコンテンツは、ウィスキーやシードルでも例があります。