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業界動向 2024.12.11

コヤ所長の語るXR時代の“必勝法”とは?【XR Kaigiオープニング・キーノート要約】

本日12月11日より始まったXRKaigi。まずはオープニング・キーノートの様子からお届けします。

オープニングトークに登壇したのは、moguraVR編集長であり、XRKaigi主催者の久保田瞬。2019年からはじまったXRKaigiの目的と歴史や、XR業界全体の現状レポートと未来展望などの話から始まりました。

2024年を振り返ると、Gorilla Tagを代表とするVRゲームの普及や、エンタープライズ向けXRデバイスやソリューションの需要増大、また新型のコンシューマー/エンタープライズ用ARグラスの多数発売など、多くのトピックスがありました。

日本国内に目を向けると、“スタンミショック”とまで呼ばれた配信者によるVRChatムーブメントもありました。VRChatユーザーの大幅増大とともに、新型機発売前で市場在庫が少なくなっていたタイミングとはいえ、この現象によって全国各地のショップからMeta Quest、PICO4の在庫が枯渇したことも、トピックの1つと言えるでしょう。

名ゲームプロデューサー・コヤ所長が教えてくれた”必勝法”

株式会社ホットスタッフ・プロモーション エグゼクティブプロデューサー・コヤ所長(小山順一朗氏)によるキーノート「XR時代の必勝法:数々のヒット作を生み出したクリエイターが明かす、価値ある体験づくりの革命的アプローチ」がはじまりました。

コヤ所長は1990年にナムコ(現バンダイナムコ)に入社し、『アイドルマスター』や『機動戦士ガンダム戦場の絆』、『湾岸ミッドナイト』といったゲームセンター用の大型筐体ゲームや、多くのVRゲームを遊ぶことのできたゲームセンター『VR ZONE SHINJUKU』などを手がけてこられたゲームプロデューサーです。

歴史に残るゲームも、(本人曰く)「クソゲー」も作っていたというコヤ所長のお話は、XR時代の必勝法として、天才でなくても、ヒット作品を生み出すための科学的なアプローチを紹介。新しい技術にわくわくするだけではなく、技術とユースケースを同時に提示することが求められてきた現在において、ゲームやサービス、ハードウェアの企画を作るときに最も重要となりそうな考え方が語られました。

ゲーム制作においては、おもしろさの軸を決めるための「羅針盤」が必要だと話します。この羅針盤がないと、多くの専門職の集まるゲーム開発において、各スタッフが自由に自らのアイデアを発言してしまい、現場は大混乱。その先にあるのはデスマーチ。しかも開発が進まなければゲーム開発において最もコストがかかっている人件費が増大し続け、そのうちにライバル企業から同様の企画の製品が発売されてお蔵入り、という悲しいゴールを迎えることとなります。

もちろん優れたアイデア1つで、世界を席巻する製品が作れることもありますが、

1.開発者の感性に共感する人が多い
2.その感性が独自的魅力のとき

この2点のいずれかが欠かせないとのこと。お話を聞いていて感じましたが、いずれか1つだけでもひらめきで得ることができるのが、天才の仕事なのかもしれません。

コヤ所長はマーケティングが大事と話します。もちろん単に収益を上げるためのマーケティング論ではありません。マーケティングの本質は、単に商品を売るための手段ではなく、新しい市場を創造し、その市場を広めることにある。これにより、企業は持続的な成長を遂げることができるというもの。今まで見えていなかった需要をどう見つけるか、ということなのでしょう。

ここでコヤ所長は「珍しい」「欲しい」を軸とすることを提示します。珍しくて欲しいと感じるものは天才商品でありロングセラーになり得るもの。市場で成功しやすいそうです。「ありふれているけど欲しい」と感じるものはマーケティングで売れるけれど、放置しておくと短命だといいます。

どうやって「珍しい」「欲しい」を作れるのか。必要なのは慣例にとらわれないこと。そしてアイディア(手段)はニーズ(目的)のために存在していることを意識するべきだそうです。

ニーズは重層的に考えることができるといいます。下層にある商品ニーズ(Haveニーズ)、中層の生活ニーズ(Doニーズ)、上層の人生ニーズ(Beニーズ)。上層に行けば行くほど普段から言語化しているものではなく、深層心理に関わってくるものとなるのでしょう。そこに今まで可視化されていなかった未充足ニーズ(コヤ所長いわく、わがままニーズ)があるようです。

改めて、「アイデアに囚われないように」と話しつつ、C=I+Nの方程式を提示しました。Cはコンセプト、Iはアイデア・技術、Nはニーズです。製品開発の目的はコンセプトを達成することであって、アイデアをそのまま具現化するものではないことがわかります。

そしてコンセプトを羅針盤とすることで、様々なアイデアを提案されたとしても、コンセプト実現のためにならないアイデアを削ぎ落とせるといいます。

企画職なら必見のキーノート

本編では多くの事例で、C=I+Nの方程式の重要性や、先入観があることでアイデア前提の思考となってしまうメカニズム、そのスタンスから思考を脱却させるためのテクニック、普段から行える練習方法など、様々なお話がありました。このオープニング・キーノートを初め、他のセミナーも12月23日〜1月31日にアーカイブ配信されます(配信映像は編集あり)。チケット購入者であれば、いつでも履修・復習できますので、90年代以降のゲーム開発現場で培われてきた企画立案の思考法を学びたい方は、ぜひチケットをお求めください。

XR Kaigi 2024 開催概要

名称:XR Kaigi 2024
会期:2024年12月11日(水)〜12月13日(金)
会場:ポートシティ竹芝内(ポートホール・東京都立産業貿易センター浜松町館)
公式サイト:https://www.xrkaigi.com/
公式SNS:
・X:https://twitter.com/xrkaigi
・Facebook:https://www.facebook.com/XRKaigi/
主催:株式会社Mogura
(参考)XR Kaigi 2024
※「XR Kaigi 2024」を主催する株式会社Moguraは、メディア「Mogura VR」を運営しています。


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