2024年11月28日、「XR/メタバース作戦会議 ~XR / メタバースを牽引する注目企業が語る未来展望」がオンライン開催されました。
本イベントは株式会社Mogura主催のカンファレンス「XR Kaigi 2024」のスペシャル・プレイベント。XR、メタバース、空間コンピューティングなど、最先端テクノロジーを牽引する企業のキーパーソンたちが、業界最新動向や将来展望について語りました。
今回はDiver-X株式会社のセッションをレポート。登壇者は、同社代表取締役の迫田大翔氏です。
迫田氏の今回のテーマは『ハードウェアの挑戦』です。現在、没入感を追求し多様なXRハードウェアが登場しています。XRデバイス「ContactGlove2」や「ContactSheet」等の先進的な開発を進めるDiver-Xのソリューション事例や事業戦略から解説します。
正解がないからこそ、インターフェイスを進化させるDiver-X
Diver-XはXR系デバイスを開発する企業です。2021年に設立し、代表的な開発製品にはバーチャル空間で指の動きを精確に反映させる「ContactGlove」シリーズや、MetaのVR/MRヘッドセット「Meta Quest 3」のコントローラー操作体験をよりリッチなものにする「ContactSheet」があります。また、要素技術のライセンシングやコンシューマ製品のOEM、toB向けソリューション等の収益化にも成功しています。
迫田氏は「Diver-Xの事業内容を一言で表すと『人間インターフェースデバイス(Human interface Device / HID)』の開発」だといいます。
HIDとはリモコンやスマートフォン等、人間が物理的に接触してコンピューターとやり取りするデバイスを指します。同氏は「ChatGPTやPC性能の向上によって、コンピュータ側で出来ることは増える一方で、人間とコンピューターとがやり取りをするツール、つまりインターフェースの部分は、あまり変化していないのではないか」と疑問を呈します。
人間がコンピュータ側に指令を出したり、コンピュータ側から処理された情報を受け取る方法は、文字や映像が代表的です。
「これらの変換効率を上げることで、人間がコンピュータ側から得られる情報量や、逆に人間が一定時間内でコンピュータ側に与えられる指令の速度を向上させることが可能になる。その結果、人間の生産効率や体験の質が向上し、顧客がインターフェースに対して価値を見出すことができると考えています」(迫田氏)
Diver-XはHID領域の中でも、XRでのインターフェースに注目。なぜなら「デバイスもコンテンツも普及期にあるため、正解がない状態」(迫田氏)であるからです。
VR空間では、ハンドトラッキング機能によって没入感が高まり、触覚フィードバック機能によってコミュニケーション効率が大きく向上します。つまりXR領域においては、より良いインターフェースを使うことが体験の質や生産性に直結すると指摘します。
新製品はコントローラー機能に注力
Diver-Xはコンシューマー向け事業に軸を置いています。直近の2024年11月には新製品である「ContactGlove2」を発表。ハンドトラッキング、触覚フィードバック、コントローラーという3つの機能を兼ね備えた製品となっています。
特に迫田氏はコントローラー機能の重要性を強調。「注目されがちな触覚フィードバック機能はまだまだ必須要素ではなく、まずはコンテンツを快適に確実に操作できることが何より必要」と話し、研究開発フェーズでは、グローブ型コントローラーと既存の入力システムの共存に注力したとのことです。
触覚フィードバック技術で製造業の効率化を狙う
一方で、Diver-XはBtoB事業にも積極的に取り組んでいます。
同社の事業領域における顧客セグメントは、「VRChat等に代表されるソーシャルVRユーザー層」「 VTuberを含む配信者やプロダクション層」「シミュレーションやトレーニングに組み込む産業層」に分類されます。
BtoB事業では、主に開発工程を短縮・低コスト化を目標に掲げる製造業の企業に対して、同社の触覚フィードバック技術を活用する提案を行っているそうです。
製造業では実物を製造して評価する工程は必要不可欠。完全にこの工程の削除はできなくとも、「ContactGlove」シリーズを使ってVR空間で使用感や形状を評価できることを認知してもらい、開発工数を少しでも削減し、製造工程のDXを目指しています。
迫田氏は「現在、触覚フィードバック技術の単体販売やOEM、センサーの多様な活用など、マネタイズの幅を広げている。ハードウェアを扱う企業として、これまで世の中でできなかった新しい体験を実現してきた。今後はソフトウェア領域も含めた顧客ソリューションを提供していきたい」と、将来の展開を語りました。
最後には12月21日の新製品発表を予告。詳細は公式サイトや公式ストア、Xアカウントで発表する予定です。
セッション後には、司会の久保田氏から2つの質問が投げかけられました。
久保田瞬氏(以下、久保田):
今年は他社も含め、製品が続々と発表されています。Diver-Xも新製品を発表されていますが、今年にリリースした意味や理由はあるんでしょうか。
迫田氏(以下、迫田):
今年は3つの新製品をリリースしましたが、これは偶然です。ただ、これらの新製品を受け止められるレベルに市場が成熟してきたとも感じています。来年はもっとたくさん出します!
久保田:
今後、触覚技術はどうなっていくとお考えですか?
迫田:
今後の触覚技術を考える上で重要なポイントとして、市場がこの技術を受け入れられる状況にあるかどうかが挙げられると思います。
BtoCのXR市場は、単刀直入に言うとVRChatのようなソーシャルVRコンテンツが代表的です。現状、ソーシャルVRコンテンツをベースにした、簡単に使える触覚フィードバックグローブ的なデバイスはまだ存在しないと認識しています。加えて、既存の触覚フィードバックグローブに限らず、新しいインターフェース自体を既存のコントローラーベースで作られたコンテンツに対応させていくことは、まだまだ難しい状況です。
そういった観点から、我々としては触覚フィードバックに軸足を置きすぎずに、ハンドトラッキングであったり、グローブ型コントローラーであったり、市場の進歩に合わせて最新技術を導入していく方針です。
Diver-Xもブース展示 「XR Kaigi 2024」は開催間近!
「XR Kaigi」は、XRなどバーチャル領域の担い手に向けて「共有し、繋がり、高め合う」を目的に開催する国内随一の業界カンファレンスです。 XR/メタバース/VTuber/空間コンピューティング/デジタルツイン/アバター等をテーマに、開発者・クリエイター、経営層やビジネス担当者、マーケティング担当者、学生など、この領域で活躍しているプレイヤーと関心を持っている全ての方向けのイベントとなっています。
今回プレイベントに登壇したDiver-X株式会社も、「XR Kaigi 2024」のエキスポエリアにブース出展予定。
ブースでは、最新VR向けグローブ型コントローラー「ContactGlove2」をコントローラーモジュール「Magnetra2」付きで実際にVRでプレイするデモを展示する予定です。
ContactGlove2 + Magnetra2(2024年12月出荷分)
また、開発中の廉価で手軽なトラッキングシステム「Contact Track」が実際に動きをトラッキングする様子を体験できるとのことです。
詳細:https://www.xrkaigi.com/event/9316/module/booth/261502/242365
XR Kaigi参加には、チケット購入が必須!
チケット購入者は、東京ポートシティ竹芝でのセッション、エキスポ、他コンテンツへの参加が可能です。また、チケットをお持ちの方は、追加購入なしで、12月11日(水)夜に会場(ポートシティ竹芝内 1Fポートホール)にて開催される懇親会にも参加が可能です。またセッションのアーカイブ動画も視聴できます。
一般チケット8,000円(税込 8,800円)学割チケット 2,000円(税込 2,200円)を現在発売中!チケットは公式サイトより購入できます。
XR Kaigi 2024 開催概要
名称 | XR Kaigi 2024 |
会期 | 2024年12月11日(水)〜12月13日(金) |
会場 | ポートシティ竹芝内(ポートホール・東京都立産業貿易センター浜松町館) |
公式サイト | https://www.xrkaigi.com/ |
公式SNS | ・Twitter:https://twitter.com/xrkaigi ・Facebook:https://www.facebook.com/XRKaigi/ |
主催 | 株式会社Mogura |
(参考)XR Kaigi 2024
※「XR Kaigi 2024」を主催する株式会社Moguraは、メディア「Mogura VR」を運営しています。