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企業動向 2024.12.06 sponsored

ARグラスが切り開く新たなXR時代 業界最注目の日本発・AR要素技術Cellidが解説【XR/メタバース作戦会議 講演レポ】

2024年11月28日、「XR/メタバース作戦会議 ~XR / メタバースを牽引する注目企業が語る未来展望」がオンライン開催されました。

本イベントは株式会社Mogura主催のカンファレンス「XR Kaigi 2024」のスペシャル・プレイベント。XR、メタバース、空間コンピューティングなど、最先端テクノロジーを牽引する企業のキーパーソンたちが、業界最新動向や将来展望について語りました。

今回はCellid株式会社のセッションをレポート。登壇者は同社CROの林真二氏です。ARグラス用ディスプレイおよび空間認識エンジンの開発を事業の主軸とするCellid。その独自技術と先進的な取り組みを解説します。

高い技術力を持つ国産スタートアップ「Cellid」

Cellid株式会社は2016年に白神賢氏が創業した、日本発のスタートアップ企業です。社員は約60名、本社を東京に置き、米シリコンバレーにも営業拠点があります。主要株主には日本の半導体、光学系、材料系メーカーが名を連ねており、開発支援の観点からも手厚い体制を築いています。2024年にはForbesが選ぶアジアの注目スタートアップ企業100社にも選出されました。

同社は、ARグラスを社会実装するためのキーコンポーネントを提供しています。

具体的には、ARグラスのレンズ部分に該当する「ウェーブガイド」、ARグラスのエンジンとも言える投影を担う「マイクロプロジェクター」、それらを組み合わせた「ディスプレイモジュール」などの提供です。それらの部品を搭載した最終製品の1歩手前の「リファレンスデザイン」も扱っています。また、Cellid SLAMなどの空間認識ソフトウェア技術を用いた、産業別ソリューションの開発、提供も行っています。

2024年、ディスプレイ学会The Society for Information Display主催の「2024 Display Component of the Year Award」を受賞(フルカラープラスチックウェイブガイド技術が対象)。日本企業としてはSony、東レ、ジャパンディスプレイに次ぐ受賞となっています。

同年11月には、ARグラスのリファレンスデザイン(検証用モデル)を発表。独自開発した光学シースルーディスプレイ方式のウェーブガイド技術を採用し、58gの軽量小型化を実現しています。

林氏は「このリファレンスデザインを使って、ARグラスで実際どういうことができるのかの観点で、ユースユースケース開発に着手している。 パートナーのエコシステムや市場形成を加速させていく意気込みの表れ」と語りました。

併せて、SLAM技術を応用した東京都港湾局との取り組みを紹介。構内施設の3Dモデル化と、点検時の写真の自動整備に関するソリューション開発を実施したとのことです。

なお、同社は基本的に、事業パートナー経由で法人顧客や個人に自社製品を届けていくパートナービジネスの戦略を取っています。

ARグラスは流行るのか? Cellidの答え

林氏は、IDCが2000年に発表した「2027年以降、グラス型のデバイスの出荷台数が年間5,000万台に到達」との予測を参考にしながら、「『(ARグラスが流行するのは)本当なのか』という声に対して、今年、大きな光が見えた」と述べました。

そして同氏が示したのがMetaのスマートグラス「Ray-Ban Meta」です。2023年10月に発売して以来、北米で爆発的な人気となっています(日本国内は未発売)。AR機能は無いものの、カメラとスピーカー、マイクを搭載し、フルHDでの写真・動画撮影が可能。通話や音楽再生などもメガネを装着したまま使用可能で、MetaのAIを用いて音声コマンドの各種機能も充実しています。

「今までのARグラスはVR/MRヘッドセットを眼鏡っぽくした製品が多く、重たかったり、装着感がイマイチだったりしていた。その状況下で、Meta社が眼鏡の延長線上で使えるスマートグラス『Ray-Ban Meta』を出してきた。 現在の価格は、セールもあって239ドル(本講演時点)。通常のサングラスを買うか、少しお金を足してスマートグラスを買うかの二択が、アメリカで実際に起きている」(林氏)

眼鏡の延長線上にあるARグラスは、「ハンズフリーで使える」「スマホを出す必要がない」「自分が見ているものを意識せずに共有できる」「音声でやり取りができる」「常に身に付けるため、あらゆるデータを収集できる」などのメリットがあることも指摘していました。

同氏は、さらにARグラスによる法人のビジネスチャンス創出についても指摘。

「例えばAIを使った遠隔作業支援やリアルタイム通訳です。買い物時にいちいちスマホを出さなくても良くなる世界が来るかもしれない。 それから、(AIが)接客サポートとしてお客様の顔を認識して教えてくれたり、学習場面でも(問題の)解き方を教えてくれたり。エンタメ・スポーツでも活用できるし、医療手術の現場で、患者さんの必要な情報にアクセスできるようになる可能性がある」(林氏)

開発パートナーを幅広く募集中

Cellidは現在、国内外問わずパートナー企業を募集しています。

リファレンスデザイン発表と同時にスタートした「事業開発パートナープログラム」では、ARグラスを活用した新規ビジネス創出のためのアプリケーション共同開発や実証実験が可能。参加企業には、ARグラスに適した業務やサービス設計、実証実験、アプリケーション開発などのサポートを提供できるとのことです。

またOEMパートナープログラムも展開し、ARグラスの自社開発を目指す企業も募集中。ARグラスの購入・レンタル、製造のためのキーコンポーネントの調達も支援しているそうです。

林氏は「既存ARデバイスからの移行、VR/MRヘッドセット製造中止による代替機としてのARグラス検討から、『ARグラスを活用して業務改善してみたい、一緒にユース開発したい』など、幅広く対応している。お気軽にご連絡いただきたい」と述べました。

また同社は採用にも注力しており、幅広い職種で募集をかけています。詳細は公式採用サイトから確認できます。

今後のARグラス普及に必要な視点とは

セッション後には、司会の久保田氏とフリージャーナリスト・西田宗千佳氏から2つの質問が投げかけられました。

久保田瞬氏:
ARグラスが今後広がっていくと考えた場合、どの部分が差別化要因になっていくと思われますか?

林真二氏:
まずは社会受容性、社会に受け入れられるかどうかがポイントになると思っています。周りから見ていて違和感がないか、ユーザー自身が装着していて違和感がないか。具体的には、眼鏡やサングラスと同様の見た目であるか、1日中装着できる重さか、レンズ越しに見る世界に違和感がないか、といった点も重要だと思っています。 また、すでに眼鏡を使用している方も多くいらっしゃるので、度付きレンズをサポートできるかどうかも重要な要素になります。

その次の段階として、フレームのデザイン性や映像の見やすさなどの機能性、視野角の広さを含めた利用可能なコンテンツなどが差別化のポイントにシフトしていくと考えています。

西田宗千佳氏:
ARグラス開発では、VR/MRに近いフル機能を目指すこともできるし、情報を出して現実に重ねるような、比較的ライトな性能のデバイスを目指すこともできます。Cellidとしては、どちらを開発しようと考えていますか?

林真二氏:
後者です。単純に技術的な成熟や成長が追いついていない面があります。狭い視野角での生成AI表示などができるマイクロプロジェクター含めた、コンポーネントのマチュリティの発達が、眼鏡型デバイスのスイートスポットになってくると感じています。

当然ARグラスが進化していけば、Metaが発表したARグラスプロトタイプ「Orion」のようになっていくはずです。つまり、今のMRデバイスでできることを、眼鏡型デバイスができるようになってくる。そのフェーズに向けて、当社でも実はマイクロプロジェクターを作って視野角を広げる開発にも取り組んでいます。

Cellidもブース展示、セッション登壇の 「XR Kaigi 2024」は開催間近!

「XR Kaigi」は、XRなどバーチャル領域の担い手に向けて「共有し、繋がり、高め合う」を目的に開催する国内随一の業界カンファレンスです。 XR/メタバース/VTuber/空間コンピューティング/デジタルツイン/アバター等をテーマに、開発者・クリエイター、経営層やビジネス担当者、マーケティング担当者、学生など、この領域で活躍しているプレイヤーと関心を持っている全ての方向けのイベントとなっています。

今回プレイベントに登壇したCellid株式会社も、「XR Kaigi 2024」のエキスポエリアにブース出展予定。

ブースでは、ARグラスのリファレンスデザイン(検証用モデル)を展示予定。この検証用モデルのARグラスは、独自開発した光学シースーディスプレイ方式のウェーブガイド技術を採用し、軽量小型化を実現しています。8MPの高解像度カメラと、3軸IMUセンサーを搭載し、現実空間における物体や位置を認識可能です。

詳細:https://www.xrkaigi.com/event/9316/module/booth/261502/266718

また、プレイベントにて講演したCellid株式会社 林真二氏はXR kaigi 2024でも登壇予定! 登壇セッションは12月12日(木)13:10〜13:55、XR Kaigi 2024会場4階 第2会議室にて開催されます。

ARグラスの開発が世界中で進んでいますが、実用化にあたって重要なディスプレイは、視野角が狭かったり、厚みがあったり、日常的な使用は困難でした。当社は、独自の光学シミュレーション技術と独自の生産技術で、一般的なメガネレンズと同等の薄さと軽さ、鮮明な画像、ウェイブガイドで世界最大級の広視野角を実現しました。本セッションでは、ARグラスに使用される最先端のウェイブガイド技術を含むテクノロジーとARグラスのトレンドについてご紹介します。

詳細:https://www.xrkaigi.com/event/9316/module/booth/308916/269505

XR Kaigi参加には、チケット購入が必須!

チケット購入者は、東京ポートシティ竹芝でのセッション、エキスポ、他コンテンツへの参加が可能です。また、チケットをお持ちの方は、追加購入なしで、12月11日(水)夜に会場(ポートシティ竹芝内 1Fポートホール)にて開催される懇親会にも参加が可能です。またセッションのアーカイブ動画も視聴できます。

一般チケット8,000円(税込 8,800円)学割チケット 2,000円(税込 2,200円)を現在発売中!チケットは公式サイトより購入できます。

XR Kaigi 2024 開催概要

名称 XR Kaigi 2024
会期 2024年12月11日(水)〜12月13日(金)
会場 ポートシティ竹芝内(ポートホール・東京都立産業貿易センター浜松町館)
公式サイト https://www.xrkaigi.com/
公式SNS ・Twitter:https://twitter.com/xrkaigi
・Facebook:https://www.facebook.com/XRKaigi/
主催 株式会社Mogura

(参考)XR Kaigi 2024
※「XR Kaigi 2024」を主催する株式会社Moguraは、メディア「Mogura VR」を運営しています。


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