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テック 2016.09.19

VR向けのPCを選ぼう!おすすめVR PC徹底解説

「高品質なVRを家でも体験したい」イベントなどでOculus RiftやHTC Viveを体験したことのある人なら誰もが一度は思うことではないでしょうか。現在家庭用に販売されているハイエンドのVRヘッドマウントディスプレイはHTC ViveとOculus Riftです。

PC向けのVRヘッドマウントディスプレイは、”ハイエンドなPCが必要”と言われることもしばしば。今回は、高品質なVRを動かすために必要な、「PC用VRヘッドマウントディスプレイ(HMD)が動くパソコン」について徹底解説していきます。

そもそも、どうしてVR PCが必要なのか

 
どうして「VRが動くPC」というくくりで考えなくてはいけないのでしょうか。普段使うパソコンでVRコンテンツは動かないのでしょうか。

普段使うパソコンではVRコンテンツを動かすには性能(スペック)が足りません。

VRはとても高いグラフィック性能とCPU性能を要求します。しかし、普段使うパソコンでは、VRの求めるグラフィック性能には届きません。

VRがとても高いグラフィック性能を要求することには理由があります。それは、違和感なく視界を描画し、VR酔い(プレイヤーの視線移動に際して新たな画面を描画する作業に遅延があると気分が悪くなる現象)を防ぐためです。そのために、VRHMDは、普通のPCのディスプレイよりも速くグラフィックを描画するようにできています。速く描画するためには、相応の性能をもったGPUが必要となります。

そういった理由から、「VRが動くPC」、いわゆるVR Ready(VRレディ)という、VRが問題なく動くPCという括りが生まれました。

デスクトップパソコンをお持ちの人は、グラフィックスの換装などでVRに対応させることも可能です。お手持ちのPCをVRに対応させる方法は、記事後半の「自作PCでVR PCを作る場合、自作PCのパーツを組み替えてVR PCを作る場合」にて紹介しています。

VR向けPCの選び方

VRが動くPCと言われても、ピンとこない方が多いでしょう。高価な価格のパソコンが必要と思われるかもしれません。しかし、VR用のPCといっても、ノートパソコンではなく、デスクトップパソコンと呼ばれる据え置き型のPCを選べば、価格はぐっと安くなります。

最近ではゲーミングノートパソコンでもVRコンテンツが動くようになりました。しかし、ゲーミングノートパソコンはゲーミングデスクトップパソコンに比べると同じスペックでも少し価格が高くなること、パーツ交換などメンテナンスがしづらいことがあります。

VR PC

正しいGPUやCPUを選ぶために知識が必要と思われるかもしれませんが、知識がなくても大丈夫です。「VR Ready」という、VRに適したグラフィックスを選ぶための基準があるからです。

VR Readyかどうかのチェック

「VR Ready」とは、「このGPUを持ったPCではVRゲームがしっかり動く」ということを証明する基準のことです。VR Readyを搭載したGPUを持ったPCであれば、VRゲームは問題なく動きます。

VR PC

VR PC

VR Readyを満たしたGPUには上記2種類のVR Readyマークがつけられています。マークが2種類あるのは、VR Readyを満たしたGPUを提供しているメーカーがNVIDIAとAMDの2社あるからです。緑色のほうはNVIDIAのGeForceシリーズのGPUの「VR Ready」、赤色のほうはAMDのRADEONシリーズのGPUの「VR Ready」となっています。

VR Readyの要件

まず、PC向けの高品質なVRHMDの中でも有名なVRHMDである「Oculus Rift」と「HTC Vive」の必要スペックを見ていきます。

Oculus Rift

OS:Windows 7 SP1 64 bit 以降
GPU: GeForce GTX 970 / AMD R9 290 以上
CPU:インテル Core i5-4590 プロセッサー 以上
メモリ:8GB以上
映像出力:HDMI 1.3
USBポート:USB3.0ポート x3、USB2.0ポート x1

HTC Vive

OS: Windows 7 SP1 64 bit 以降
GPU : GeForce GTX 970 / AMD R9 290 以上
CPU : インテル Core i5-4590 プロセッサー,
AMD FX 8350プロセッサー 以上
メモリ:4GB以上
映像出力:HDMI 1.4 またはDisplayPort1.2以上
USBポート:USB2.0ポート x1

2つのHMDのスペックを並べてみましたが、どちらも「メモリ」の項目と「USBポート」の項目以外大きな差はありません。

ここで重要になるのが「GPU」の項目です。どちらのVRHMDも、「GeForce GTX 970 / AMD R9 290 以上」と定められています。

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VR PC

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VR PC

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VR Readyのマークは「GeForce GTX 970」「AMD R9 290」の性能以上のGPUを備えているモデルにつけられます。この2つのGPUの性能以上であることがVR Readyの要件となります。

メーカー製パソコンからVR PCを選ぶ場合

パソコンメーカーなどからVRが動くPCを買う場合も、「GeForce GTX 970」「AMD R9 290」の性能を満たしているPC、つまり、VR Readyマークがついているパソコンであれば問題ありません。ほとんどの場合、VR Readyマークがついているパソコンは、CPUなどその他の必要項目の基準も満たしているので、VR Readyマークがついたパソコンを買えば、パソコンで高品質なVR体験をすることができます。

「VR Ready」マークがついたPCを販売するメーカー一覧

HP・MSI・ASUS・DELL・G-tune・ドスパラ・tsukumo

自作PCでVR PCを作る場合、自作PCのパーツを組み替えてVR PCを作る場合

自作PCでVRが動くPCを作る場合も、GPUについた「VR Ready」マークが重要です。

しかし、自作PCではCPUなどその他の基準に関しても考えなくてはいけません。

自作することに自信の無い人は、PCショップの店員さんに「VRが動くPCが欲しい」ということを伝えて、パーツの相談をした方がいいでしょう。

CPUについて

CPUについては、Oculus RiftおよびHTC Viveの必要スペックに書かれている「Core i5-4590 プロセッサー」以上であれば問題ないです。

VR PC

しかし、両VRHMDの発売時から、CPUは発展しています。必要スペックに書かれているCPUは「Haswell」というコードネームのつけられた世代(4000番台)ですが、現在販売されているCPUの主流は「Skylake」とよばれるコードネームのついた世代(6000番台)になっています。

CPUを買う場合は、「Core i5-4590」にこだわらず、下記のCPUを購入するのがいいでしょう。Core i5-4590以上の性能を持っているデスクトップ向けCPUであることが条件で、現在も販売されているものを選びました。

・Core i7-6950X ・Core i7-6850K ・Core i7-6800K ・Core i7-5960X ・Core i7-5930K ・Core i7-5820K ・Core i7-6700K ・Core i7-6700 ・Core i7-4790K ・Core i7-4790 ・Core i7-4790S ・Core i5-6500 ・Core i5-5675C ・Core i5-4690 ・Core i5-4590

なお、「Haswell」世代のCPUと「Skylake」世代のCPUでは、規格が変更されているので、マザーボードを選ぶ際に注意が必要です。

VR PC

メモリ

8GB以上のメモリを積みましょう。

映像出力

HDMI1.3やHDMI1.4などは、「VR Ready」を満たしているGPUならばついている規格なので心配する必要はありません。

USBポート

Oculus RiftではUSB 3.0ポートが3つ必要です。HTC Viveでは1つで問題ありません。購入するマザーボードを見て、ポートの個数が足りているか確認してください。

GPU性能比較

ここではVRが動くPCにとって重要な基準となる「VR Ready」のマークがついたGPUの性能比較を示していきます。

GeForce GTXシリーズ

「VR Ready」のついたGPUは以下の通りです。上から順に性能が高いです。

TITAN X
GeForce GTX 1080 
GeForce GTX 1070
GeForce GTX TITAN X
GeForce GTX 980 Ti
GeForce GTX 980
GeForce GTX 1060
GeForce GTX970

GTX 10番台からアーキテクチャが刷新され、「Pascal」アーキテクチャと呼ばれるものになりました。このアーキテクチャの特徴は、VRへの最適化が行われている点です。そのため、比較的安い価格で手に入るGTX 1060でさえも「VR Ready」に対応しています。価格と性能を考えると、最新のGTX 1080、GTX 1070、GTX 1060がおすすめです。

VR PC

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AMD Radeonシリーズ

「VR Ready」のついたRadeonシリーズのGPUは以下の通りです。上から順に性能が高いです。

Radeon R9 Fury X
Radeon R9 nano
Radeon R9 390X
Radeon R9 390
Radeon RX 480
Radeon R9 290

Radeonでは、GeForceでいうところの「Pascal」に相当する「Polaris」アーキテクチャを搭載したRadeon RX480が「VR Ready」に対応しており、話題を呼びました。

VR PC

VR向けのPCは、たくさんの専門知識がなくても選んだり、作ることができます。「VR Ready」の基準や、PCショップで店員さんと相談して、納得のいくVRが動くPCを選び、高品質なVR体験を家で味わいましょう。


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