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美容をARとAIで変える 台湾企業が仕掛けるバーチャルメイク革命

化粧品と言えば店頭でテスターを試して購入するもの……。そんな化粧品の売り方が変わりつつある。

ここ最近、化粧品ブランドがこぞって導入しているのが「バーチャルメイク」だ。自撮りをするようにスマートフォンを自分の顔にかざし、試したい化粧品をタップで選択すると、実際にその化粧品を使ったように見える。ブランドのWebサイトで導入されているだけでなく、YouTubeやGoogleの検索結果、Amazonなどの大手プラットフォームでの採用やPinterestやSnapchatといったSNSにも機能が統合され始めている。

この動きを支えている企業がある。台湾に拠点を構えるテック企業パーフェクト(Perfect)だ。自社が提供するバーチャルメイクアプリ「You Cam メイク」は全世界で4億ダウンロードを超える大ヒットアプリを提供。先述のYouTubeやGoogle検索結果への技術提供を行なっている。

それ以外にも各種ブランドへのB2Bでのバーチャルメイクシステムを提供しており、日本では資生堂や花王などの主要ブランドで実績がある。直近ではゴールドマン・サックスから5,000万ドルを資金調達するなど、財務面でも加速している。

今回は、日本法人であるパーフェクト株式会社の代表取締役社長・磯崎順信氏に話を聴きながら、バーチャルメイクの今を探ってみたい。

自社アプリからSaaSへ、システムだけでなくUXも洗練

パーフェクトは、もともと画像認識の技術を持っている企業の小会社として2015年に創業した。親会社が自社技術を応用してARとAIを組み合わせてバーチャルメイクシステムを構築。画像ベースでの3Dフェイストラッキングや顔認識、肌色認識、表情認識技術を保有している。

リップ、アイライナー、アイシャドウ、チーク、ファンデーションやマスカラなど、10 種類以上のコスメアイテムを試せるバーチャルメイクアプリ「YouCam メイク」は全世界で4億ダウンロードを超える大ヒットアプリとなった。


(「YouCam メイク」)

「YouCam メイク」の非常に印象的なパーフェクトだが、実は同社のビジネスが軸足を置いているのは自社アプリではない、と磯崎氏は語る。パーフェクトは自社アプリの裏にあるバーチャルメイクシステムをSaaSとして、外部のブランドに提供しているのだ。

提供しているのは、コア技術である顔認識や化粧品のARやAI技術そのものだけに留まらない。当初は顧客ブランドごとにツールをカスタマイズする個別対応をしていたそうだが、創業2年目には、顧客企業が管理できる管理コンソール画面を作り上げた。これにより、顧客であるブランドは化粧品の登録を自分たちで行えるようになった上に、ユーザーの行動解析にもアクセスできるようになった。

デプロイも自社アプリに組み込む以外に、JavaScriptを発行して、EC担当者がブランドのWebサイトに組み込めるようにした。

「私たちは、YouCamメイクを通してユーザーが見えています。それゆえ、ユーザビリティを考慮しながら、エンドユーザーを満足させるUXを作れます。私たちはUX至上主義なのです」(磯崎氏)と自信を見せる。自社アプリで膨大なユーザーを獲得していることのメリットを最大限活かしている。

また直近では、サービスの提供先を拡大しているだけでなく、ブランドからのフィードバックを元に機能拡充」を行っており、新たなオプションを次々に開発していると磯崎氏は語っていた。

特に力を入れているのは、AIを活用した”診断”。肌診断や骨格診断なども提供し、診断項目を増やしている。例えば肌診断機能では、肌質などを診断し、スキンケアのアドバイスを行うだけでなく、ファンデーションのマッチングやレコメンデーションを行うといったもの。これにより、ブランドによるパーソナライズ化したサービスにつながる。

他にも目玉はある。1対1で店員が販売を指南してくれるライブキャストもその一つだ。「ビューティ分野はヒューマンタッチが非常に重要」(磯崎氏)との意識で、機能開発を行なったとのこと。店舗での販売方法が効果的な化粧品をオンラインでも販売しやすくするための機能と言える。

こうした診断やライブキャストといった機能も全てWebサイトへの組み込みが可能。ここでも徹底したUXを貫いている。

受け入れられ始めたバーチャルメイク

パーフェクトが日本展開を始めたのは、創業と同タイミングの2015年。かなり長い間展開していることになるが、最初は大変だったと磯崎氏は語る。

それまで大手企業が提供していたバーチャルメイクは、精度が低く、ブランドからはプリクラと同様の扱いを受け、ショッピングには使えないという烙印が押されていた。「我々が営業に行ってもショッピングに使えるものだという意識が(ブランド側に)なかった」(磯崎氏)と言う。

そんな当初の状況が百貨店などを経由して利用事例ができ始めたことで、少しずつ変わり始めたようだ。やがてパーフェクトは、美容業界のDXを牽引する企業となった。新型コロナウイルスが広がってからは、問い合わせは10倍に増えたという。

そもそも日本では、(米国市場と比較して)化粧品のECサイトでの購入率が低いという現状がある。「(ユーザーは)新しいデジタルなものには貪欲に使いこなしてくれるが、購入導線はリテール(一般小売)店舗が圧倒的に強い。デジタルで試してくれるし、アットコスメも見るけれど、購入は店舗が良いという方が多い」(磯崎氏)とみている。パーフェクトは日本だけでなくアメリカでもサービスを展開しているが、日本市場は国土が広く、店舗までの距離が遠いためECが受け入れられやすい米国市場とは状況が異なるようだ。

パーフェクトは、ECサイトでの購入だけで勝負しているわけではない。化粧品のEC購入率が低い日本では、OMO(Online Merges with Offline)の一貫としてバーチャルメイクを導入することが有効だと磯崎氏は語る。OMOとは、マーケティングの概念で、オンラインからユーザーの購買行動に影響を与え、店舗での購入に誘導する「リアルとデジタルの融合」を目指す考え方だ。最近では非接触の技術としてテスター代わりにバーチャルメイクが使われている。

たしかに化粧品売り場にバーチャルメイクを行えるQRコードが掲載されている光景もよく見られるようになった。店頭でヘアカラーサンプルの毛束を撤廃して、バーチャルトライ(下記画像のイメージ)を置いたルミエスト(花王)は、通常の20倍ものトライオン回数を記録した事例もあると言う。

「バーチャルメイク」というと若い世代しか使わなくなるのではないか、という懸念があるが、意外な答えが返ってきた。「(サービスの操作が)直感的なので年齢が上の方々にも使ってもらっている。逆に化粧品ブランドからすると、若い人たちをどう取り込むかが課題で、高価格帯のブランドほど悩んでいる。バーチャルメイクの導入で、平均年齢を10歳も下げたブランドもある」と磯崎氏は語る。

美容業界をデータドリブンにするバーチャルメイク

今後、バーチャルメイクがどうなっていくのか。磯崎氏に尋ねたところ、「タッチポイント(顧客と企業との接点)がすごい勢いで増えて、『メイクはバーチャルで試せるもの』という認識が広がっていくはずだ」と熱のこもった答えが返ってきた。

化粧品とバーチャルメイクは不可分になり、誰でも使えるようになる。そしてバーチャルメイクの広がりは、膨大なデータ取得が可能になることを意味する。パーフェクトではデータの解析も重視しているとのことで、ブランド側のデータ活用のサポートもしっかりと行っていくようだ。

パーフェクトには20年の蓄積があると語るが、GAFAのような超大手が乗り込んできたらどうするのか、確かに懸念があるとは言いつつも、参入障壁は十分に築けたと考えているようだ。「技術は2、3年あれば追いつけるが、ブランドとの間で築いたプラットフォームの規模感では負けない」と語る。

ブランドとの関係を地道に強固にしてきたパーフェクト。同社を率いるCEOの張華禎氏は女性で、「自分がユーザー」と語っているそうだ。技術力に甘んじず、プラットフォームを幅広く構築し、、徹底的なユーザー目線で自社アプリを開発する背景には、「ユーザーが何を求めているのか」をデータをもとに冷静に分析する企業努力があると言えるだろう。

台湾のベンチャー企業からはじまったバーチャルメイク革命、この流れは今後ますます加速し、磯崎氏の指摘通り「化粧といえばスマホでチェックするもの」といった発想を当たり前にしていくかもしれない。


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