VAST AI Researchは、3D基礎モデルとワールドモデルの研究開発を手がける組織です。同組織は2026年6月1日、永続的なマルチプレイヤー対応のワールドモデル「プロジェクト・エデン」の研究概要を公開しました。
ワールドモデルとは、映像を出力する動画生成AIとは異なり、空間そのものを生成する技術です。空間として存在するため、カメラをどの方向に向けても絵になり、物理法則に従ってオブジェクトを動かすことも可能です。出力形式も映像ファイルではなく、3Dデータとして空間情報を保持します。
同組織によると、AI生成のワールドモデルには大きく2つの方向性があるといいます。一つは動作条件付きビデオ生成で、カメラの視野から外れたオブジェクトの状態を保持できず、持続性に課題があります。もう一つは静的な3Dシーン生成で、空間構造は扱えるものの、時間の経過や状態の変化への対応を欠いています。いずれのアプローチにも根本的な限界があると、VAST AI Researchは指摘しています。
プロジェクト・エデンはこの課題に対し、「ワールド状態」とビジュアルレンダリング(※3Dモデルやデータをコンピュータで処理し、最終的な画像や映像として出力するプロセス)を切り離すという設計原則を採用しています。
内部は3層構造となっており、ワールドの状態を保持・更新する層、ワールドの状態を視点ごとの条件に変換する層、高精細な映像を生成するレンダリング層で成り立ちます。ワールドはカメラの映像の「下」に存在し、映像はそのワールドへの窓として機能するという考え方です。
この設計により、カメラの視野から外れたオブジェクトも状態として保持され続けます。複数のユーザーが同じ基盤状態を共有するため、マルチプレイヤー環境にもネイティブに対応します。ユーザーが加えた変更は状態に書き込まれ、そのワールドに入った別のユーザーも同じ変化を確認できます。安定した物理的論理と時間的一貫性を備えた環境として、AIエージェントの学習・評価への応用も見込まれています。
現時点では研究段階のプレビュー版であり、汎用的なワールドモデルの最終版ではないとされています。今後は物理ダイナミクスの拡充、状態遷移モデルの強化、リアルタイムレンダリングの改善などに取り組むとしています。また、評価指標として永続性やマルチエージェントの同期精度なども重視する方針です。詳細は公式サイトで確認できます。
VASTは2023年3月に設立されたAI企業で、汎用3D大規模モデルの開発を専門としています。Tripoシリーズでは2024年初頭からモデルを継続リリースし、現在はTripo 2.5まで公開されています。TripoSR、TripoSG、TripoSFはオープンソース3D基盤モデルとして広く活用されています。今後はTripo Studioおよび公開予定のTripo 3.0を通じて、3D生成分野の技術開発を継続するとしています。
Project Eden 概要
| 名称 | プロジェクト・エデン(Project Eden) |
| 発表日 | 2026年6月1日 |
| 発表元 | VAST AI Research |
| 概要 | 永続的なマルチプレイヤー対応ワールドモデルの研究概要 |
| 現状 | 研究段階のプレビュー版 |
| 公式サイト | www.tripo3d.ai/research |


