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活用事例 2016.12.16

各デバイスの出荷台数は?Trendforce、ハイエンドVR市場の調査結果を発表

台湾の調査会社TrendForceは、最新のVR市場調査の結果を発表しました。クリスマスギフト用としてVRデバイスの販売が好調とのこと。2016年、世界中で販売されるVRデバイス(モバイルVRデバイスを除く)の出荷台数は291万台に達し、1位がSony(PlayStation VR)、2位がOculus(Oculus Rift)、3位がHTC(HTC Vive)となっています。2017年にはさらに75%増の510万台が出荷されると予測しています。

本調査報告では、VR機器をいわゆるハイエンドVRであるPlayStation VR(PS VR)、Oculus Rift、HTC Viveに絞って言及しています。

2016年のグローバルVR市場の概況

「PS VR、Oculus Rift、HTC Viveの出荷は、主要部品の不足や生産性が低いことにより低迷しており、2018年までは市場への供給が逼迫すると考えられます。」TrendForceのウェアラブル機器担当アナリストであるJason Tsai氏は述べます。

需要の面では、2016年に販売するVRデバイスの多くは、世界中で最も消費が盛んになるクリスマスシーズンの動向に依存しています。ゲーム用ハードウェアやソフトウェアの販売がこのシーズンにピークを迎えることから、VRデバイスの販売も盛り上がる見込みです。VRデバイスは目新しさもあり、クリスマスギフトとして人気の出る商品の1つになると予想されます。

PS VRは、今年の年間生産量は150万台に達する見込みです。この数字は、有機EL(AMOLED)パネルの不足と生産時の歩留まり率が低いにも関わらず、他の2大ブランドより多く、年間最高の生産数を記録しています。

Tsai氏はまた、12月のPS VRの売上は年間売上の半分を占めるだろうと述べました。PS VRはPS4のアクセサリーとして販売され、PS VRの在庫はクリスマスシーズンの終わりまでにほぼなくなると考えられます。SIEはこのような強い需要に応えるため、来年の出荷台数をより増やそうと熱心に動いています。加えて、SIEはより多くのサードパーティ製PS VR向けゲームを来年発売しようとしています。TrendForceは2017年におけるPS VRの出荷台数は250万台に達し、年間成長率は66.7%になると予測しています。

TrendForceの見積もりによると、2016年のOculus RiftとHTC Viveの出荷台数は、それぞれ65万台と46万台です。OculusとHTCはソニーに比べて量産数が少ない一方で、どちらも需要はあり続けると予測しています。TrendForceはRiftとViveのクリスマスシーズンにおける在庫について、少なくはなりますが、PS VRほどではないと予想しています。

2017年、Oculus RiftとHTC Viveの出荷台数は、サプライチェーンを強化することで、それぞれ120万台と60万台に達すると予測しています。さらに、両ブランドは新規需要を作り出すため、2017年の第4四半期から2018年の第1四半期に次世代VRデバイスを発売するのではないかと予想しています。

TrendForceの推計によると、2016年のグローバルVR市場の収益はわずか19億ドルにすぎません。収益源にはハードウェアとソフトウェアが含まれますが、モバイルVRデバイスからの収益は除かれています。VRテクノロジー開発の初期段階では、ハードウェアが重視されるため、ソフトウェアに対する総収益の割合も高くなっています。

現在のVR市場の発展はハードウェアが牽引しているため、部品の不足、特にAMOLEDパネルの供給不足により成長が遅れている、とTrendforceは言及しています。ディスプレイ業界がAMOLEDパネルの生産能力を大幅に拡大するには時間がかかります。そうしている間に、スマートフォンでAMOLEDが普及するとVRデバイスへの供給はさらに圧迫されてしまいます。VRデバイスのベンダーは2016年、部品供給不足と生産時の歩留まり率が低い問題により、出荷額が目標を下回っていることが判明しています。

TrendForceは、ハードウェアの出荷が安定し始める2018年にVR市場がより急速に拡大すると予測しています。2020年までに、グローバルVR市場は224億ドルに成長し、ソフトウェアはハードウェアと比較してより大きな収益シェアをもち、さまざまなVR関連アプリケーションが登場すると考えられます。

言及されなかったモバイルVRの動向

TrendForceは今回の調査でハイエンドVRに対象を絞っています。サムスンのGear VRやグーグルのDaydreamなど、スマートフォンを使ったモバイルのVRはハイエンド以上に普及が進むという見方もあります。Gear VRは出荷台数こそ明らかになっていないものの、月間のアクティブユーザーが100万人以上いることが明らかになっています。モバイルVRの市場動向に関しても注目したいところです。

(参考)

TrendForce Projects Global Shipments of VR Devices for 2016 to Reach 2.91 Million Units, Driven Mainly By Holiday Sales – (英語)

http://press.trendforce.com/press/20161215-2714.html


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