千葉県・市川市立新浜小学校は、特別支援学級の生徒を対象としたVRを活用した授業の実証実験を行いました。児童をコミュニケーションスキルで2グループに分けてVR授業を実施。その結果、VRを体験する前後で対象を注視する継続時間が上位グループは75%改善、下位グループは37%改善した結果になりました。
新浜小学校では、特別支援学級の児童にソーシャルスキルトレーニングを行う場合、ロールプレイや絵・カートを活用して授業を行っています。しかし今後、新型コロナウイルスの感染拡大により、対面での授業の実施が難しくなる、という課題が生まれています。
そこで本実証では株式会社ジョリーグッドが提供する、ソーシャルスキルトレーニングVR「emou」を使用した授業を実施。新型コロナウイルスの状況によって休校になった場合でも、児童が自宅からトレーニングを行える授業スタイルを目指しました。
「emou」は学校生活や職場などの日常生活の中で必要となるソーシャルスキルを、VR内で体験トレーニングできる発達障害支援プログラムです。
上位グループの75%が対象を注視する継続時間が改善
今回の取組では、「他者の顔に注目することが難しい」、「上手く他者に思いを伝えられない」という障害特性に対し、VRによるトレーニングを行うことで、「他者の顔を一定時間注視できるようになる」ことを目指して効果実証を行いました。
本実証は、特別支援学級の3年生以上の児童16名を「コミュニケーションスキル高群」と「コミュニケーションスキル低群」の2グループに分けて実施。児童はバーチャル空間でクラスメイトの前で話をする自己紹介を練習。発話し練習している様子や児童のバーチャル空間での視点の動きを解析し、しっかりと対象を注視できているかを検証しました。
検証後はVR体験の前後で「高群の児童は75%が改善し、低群の児童は37%の改善が見られた」という結果に。今後、低群の児童には、授業デザインの工夫や適正なVRコンテンツの選定などを行いながら、引き続き効果的なトレーニングを実施するとのことです。
障害者の支援にVRが活用
昨今、研修や人材教育としてVRを導入する企業が増えています。その一方で、今回のようなVRを活用して障害者の教育や就労を支援する取り組みが模索されています。