韓国のサムスン電子は、人工筋肉アクチュエータの開発を進めていることを明らかにしました。ARグラスや触覚グローブへの導入が構想されているようです。
(画像: Nature)
サムスンのVR関連への取り組みは、2020年の「Gear VR」の完全終了を経て縮小傾向にあります。一方ARについては開発が続けている模様で、2022年3月には、独自のARヘッドセットを開発していることも報じられていました。
小型・高出力のアクチュエータ
今回発表された人工筋肉アクチュエータは、ARグラスや触覚グローブなどのウェアラブルデバイスにおいて、センシング機能を備えた小型・高出力アクチュエータとして機能します。外圧に応じて電気抵抗が変化する人工筋肉の特性を利用し、圧力で対象物にアクションを起こし、センサーなしで圧力を測定。形状記憶合金(SMA)ベースがベースになっており、重量は0.22gながら、自身の800倍もの重さの重りを持ち上げることができる耐久性を備えているとのこと。
ARグラスや触覚グローブで活用か
アクチュエータの開発は、韓国のアジュ大学機械工学科のチームと共同で行われています。同技術が組み込まれたプロトタイプのARグラスも存在しており、投影するオブジェクトの焦点距離に基づいて、ディスプレイと光学系との距離を直接調整。目の疲れの原因となる輻輳調節障害(VAC)を軽減する深度切り替えが採用されています。
(画像: Nature)
また触覚グローブのプロトタイプも開発されており、こちらでは、限られた面積の中で複数のアクチュエータを組み合わせることで、より表現力の高い触覚体験が可能になったと、サムスンは説明しています。
(画像: Nature)
人工筋肉アクチュエータについて、サムスンリサーチのシン・ボンス博士は、以下のようにコメントしています。
私たちが提案するこの新しいアクチュエータは、軽く、コンパクトでありながら、重量に対する力の比が大きいのが特徴です。
新型アクチュエータが、従来のアクチュエータの限界を克服し、ロボットからウェアラブル機器まで、その応用範囲を広げる可能性を有していることが重要です。今回の研究成果が、次世代の没入型・インタラクティブ体験の中核となるハードウェア技術に繋がることを期待しています。