アメリカ合衆国では、年間65万人以上が刑務所から釈放されています。しかしその約3分の2は、釈放から3年以内に再度逮捕されるという現実があります。こうした元受刑者らが職業を得て、社会に復帰することをサポートするVRプロジェクトが開始されました。
リスクのないトレーニングを実現
非営利団体のGoodwill Industries Internationalとコンサルティングファームのアクセンチュアは、元受刑者の社会復帰を支援する”Project Overcome”を立ち上げました。このプロジェクトでは、元受刑者にVRのプログラムを提供します。内容は、再就職先の人事担当者との面接、キャリアカウンセラーのコーチング、そして実際に職を得た元受刑者のインタビューで構成されています。
一体型VRヘッドセットOculus Quest 2やPC、タブレット端末に対応しており、リアルな3D映像を用いたシーンが特長です。またユーザーの回答、選択に応じて展開が変化し、何百万パターンものシナリオを生成できるとのこと。たとえ失敗してもリスクのない環境でロールプレイングを行えるため、再就職の面接に向けた十分な準備が可能です。
既に10の組織で導入
Goodwill Industries International代表のSteven C. Preston氏によれば、受刑者はしばしば、就労経験や資金の不足、サポート体制の欠如に直面しています。こうした人々にVRプログラムを提供し、人生を立て直すきっかけを与えるのがプロジェクトの目的です。
類似の事例では、受刑者に実生活を体験させるVRプログラムや、退役軍人の再就職支援のためのVRトレーニングがあります。
(参考)VRScout、PR Newswire
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