エンタープライズ向けのVRヘッドセットを手掛けるVRgineers社は、2018年6月に発表したデバイス「XTAL」のアップデート計画を、公式ブログで明らかにしています。
VRgineersはチェコや米国に拠点を置き、企業向けのヘッドセット開発を行っています。「XTAL」は、手に何も装着することなく赤外線でトラッキングできるLeap Motionのセンサーを搭載し、5K解像度を謳うプロ仕様のデバイスとなっています。価格は5,800ドル(約64万円)です。
年内に3つのアップデートを予定
今回発表したアップデートは「インサイドアウト方式のトラッキング」「アイトラッキング」「XRカメラ」に関する3点。今年後半に既存製品も含めて対応を予定しています。
インサイドアウト方式のトラッキング
まず、既にXTALに内蔵するセンサーを使い、外部カメラ不要のインサイドアウト方式のトラッキングを実現します。これにより、デバイスの使い方に応じた改善が見込まれます。例えばスタンドアロンモードで使う場合、トラッキングのために外部デバイスは不要です。ケーブルや、ベースステーションなしに自由な動きが可能、かつ簡単な設定で利用できます。
一方ビジネス用途などより正確性が必要な場合も、トラッキング精度の向上が望めます。OptitrackやSteamVR 2.0といったトラッキングシステムに対応し、エンタープライズ向けの正確なトラッキングが可能です。
アイトラッキングのデータ活用
続いて、アイトラッキングシステムのアップデートがあります。現時点では、ユーザーの瞳孔間の幅に合わせてレンズを自動で動かす”AutoEye”機能にとどまっています。
アップデート後は、デベロッパーがアイカメラのデータを取得可能に。ユーザーの視点や瞳孔のデータをもとに、医療診断や、トレーニングプログラムの開発、更に特定のユーザーにはヘッドセットを利用させない、といったセキュリティ機能まで可能になります。
パススルーカメラ導入
そして3点目が、ARアプリに対応する(VRだけでなく”XR”を実現する)パススルーカメラの導入です。ヘッドセット正面のカメラを使い、170度という広い視野角で現実の映像を提供します。視野角の拡大により、障害物を検知して衝突などを防ぐと言います。
このように一層ハイスペックなデバイスとなる「XTAL」は、用途としてエンタープライズ向けに特化しています。アウディ、BMW、フォルクスワーゲンといった自動車メーカーでは、すでに同社のヘッドセットを導入中とのことです。