XRデバイスとソフトウェアの互換性を目指す標準規格「OpenXR」は、主要XR企業の採用により業界標準としての地位を確立しつつあります。GoogleのXRデバイス向けの新たなOS「Android XR」がOpenXR準拠を明らかにし、11月には中国ByteDanceも「PICO 4 Ultra」の公式準拠を公表。一方で、Appleは依然として独自路線を継続しています。
「OpenXR」は、2017年に発表されたXRハードウェアとソフトウェアの共通規格です。標準規格策定を行う非営利団体クロノス・グループが策定しています。
この規格により、開発者は異なるXRデバイスに対応したアプリケーションを、大幅な修正なしで開発することが可能となります。現在、Meta、Microsoft、Valve、HTCをはじめとする150以上の企業や団体が参画しており、XR業界における重要な基盤技術となっています。
GoogleがXRへの再参入として発表した「Android XR」プラットフォームも、「OpenXR 1.1」に準拠しています。これにより、開発者はQuestなど他のXRデバイス向けに開発したアプリケーションを、Android XR対応デバイスにも移植しやすくなります。また、GoogleはOpenXRの機能を拡張する独自のベンダー拡張機能も開発しており、将来のOpenXR仕様への組み込みも期待されています。
一方、中国ByteDanceが展開するPICOシリーズも、「Pico 4 Ultra」での「OpenXR 1.1」準拠を明らかにしました。さらに、「Pico 4」および「Neo 3」については2025年半ばまでにサポートを提供する計画です。PICOは複数のXRアプリケーションを共有空間で同時実行するための標準化フレームワークを提案しており、OpenXRの発展に積極的に貢献しています。
これらの動きに対し、Appleは「Vision Pro」において独自規格を採用し続けています。OpenXRに対応していないことから、既存のXRコンテンツをVision Proに移植する際には開発者の追加作業が必要となります。加えて、Vision Proはモーショントラックされたコントローラーのサポートを標準搭載していないため、既存のXRコンテンツの移植にはさらなる課題があります。
現在、XR業界の主要プレイヤーの多くがOpenXRを採用しており、標準規格としての重要性は増しています。GoogleとPICOの参画により、OpenXRを基盤としたXRエコシステムの発展が一層加速することが見込まれます。
(参考)Road to VR
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