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活用事例 2017.08.29

不動産向けVRクラウドサービスのナーブ「半年で約30回のアップデート、導入店舗は500店を突破」

主に不動産・観光業界向けにVRクラウドサービスを展開するナーブ株式会社が、同社主催のセミナー内でこれまでのVRサービスの取り組みと成果についての説明を行いました。

ナーブ社の多田代表は、2017年に入りメディアにも取り上げられることが多くなりサービスの展開も順調と説明。同社のビジョンを「『情報で買う社会』から『感覚で買う社会』へ」と話し、VRで社会を変えることを目標としていること。

取り組みの例として、JALが従来のエコノミークラス席をより快適にしたプレミアムエコノミークラスのVRプロモーションを紹介。プレミアムエコノミークラスは、スペックで見ると従来の座席に比べて数センチ広くなったとのことですが「数字を見ただけでは理解されづらい僅かな差」。しかし、プレミアムエコノミークラスをVR体験した顧客は、プレミアムエコノミークラスの座席の快適具合を理解できたとのこと。VRであれば数値では伝わりづらい事柄も直感的に伝えることが可能だと具体例を交えて示しました。

また、不動産向けに展開しているVRサービス『VR内見』はすでに導入店舗が500店を超えたとのこと。導入店舗が増えている背景にはVRの話題性やメディアで取り上げられることの多さに加えて、ほぼ毎週のアップデート、半年で約30回のアップデートを行ったことによる地道な機能改善な効果も大きいと話しました。

不動産向けのVRサービスで最も効果的なのは工数の削減と受注確度の向上と説明。工数の削減については、VRとは直説は関係ないが、事前に撮影箇所をシステムに設定して360度カメラで撮影すると自動的にファイル名が変換される仕様など、他のポータルサイトに画像をアップする業務がある営業事務の方からは「非常に好評」と話しました。また、物件のイメージが従来の図面やウェブでの情報よりもVRはより具体的にイメージできるとして、顧客が内見した物件の成約率の向上に繋がっているとしました。

実際にナーブ社のサービスを導入している、株式会社フォーメンバーズの矢野代表は「優秀な営業マンほど、『VR内見』を活用している。使いこなしている者は成約率が約1.5倍ほど向上した」と、その効果を示しました。『VR内見』で顧客がVRで見ている場面を営業マンもPC上で確認でき、営業マンが説明しながら顧客のVR体験をサポートできるのが効果的だと話しました。

満足度は接客を行うことで15%から90%までに、驚くほど引き上げられたとのこと。

また当初、導入には現場の社員が使いこなせるかどうかという懸念もあったとのこと。しかし実際に導入すると「一番大変なのはTHETAで撮影をすること」とのことで、「(不動産業界はアナログな社員が多いが)慣れれば使いこなせる」と説明しました。

矢野代表はVRを「WEBの情報と実物件との情報のギャップを埋めるもの」と説明。不動産のウェブサービスが出てきた時と同じように、いち早くVRに取り組んだ企業は伸びていくだろうと述べました。

広い空間よりも狭い空間の方が顧客からの良い反応が返ってくる

意外だった点としては、顧客がVR体験で注意を払うポイントはリビングなどの広い空間ではなく、トイレやキッチン、風呂など狭い空間のことが多いとのこと。体験者はVRによって物件の現実的な使い勝手などをイメージすることが多いようで、それによって顧客から具体的な質問が自然と出てくるのはVR体験の魅力だとしました。

同社はイオンモールなどで展開されている「イオンハウジング」の運営をしていますが、VR体験の場合、潜在顧客が多く来ると説明しました。通常はすでに不動産の購入を検討している層が来店しますが、VRという新しさもあって来店するとのこと。普通は潜在顧客は「営業されたくない」という心理から店舗には足を運びませんが、「VR不動産」だと潜在顧客にリーチでき、不動産会社として初めての接触を取れるのは非常に価値があると感じていると話しました。

ナーブ社の多田代表は今後もアップデートを行い、新システムでは動画のサービスも検討していると説明しました。9月には大型の追加調達を計画しているとのことで、今後も積極的な事業の展開を行っていくことが期待されます。


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