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テック 2019.10.25

VRで「こっそり現実改変」、マイクロソフトが新システム公開

マイクロソフトの研究チームは視線追跡(アイトラッキング)を活用し、ユーザーの視線外で“こっそりと”VRコンテンツ内の要素を制御する新システムを発表しました。人間が視覚的に注目できる範囲の狭さを利用し、VRコンテンツにおける課題解決や、UX向上に役立てられることが示唆されています。

中心視野の狭さを活用

今回の発表は、マイクロソフトのインターンでポツダム大学の学生(PhD)Sebastian Marwecki,氏と、同社の研究者、 Andy Wilson氏、Eyal Ofek氏、 Mar Gonzalez Franco氏
、Christian Holz氏が公表しました。発表は「Mise-Unseen: Using Eye-Tracking to Hide Virtual Reality Scene Changes in Plain Sight」という、計13ページのレポート形式で行われています。

VRコンテンツを体験している際、プレイヤーは通常、自身が興味のある(=注目する)オブジェクトに対して視線を動かします。マイクロソフトが今回発表したシステムは、視線の動きを探知し、ユーザーが気付かないうちに周囲の環境を変えてしまうというもの。公開された映像では、パズルを解く際のサポートとして正解のパズルピースを近くに出現させたり、好みの絵画を表示させたりといったユースケースが示されています。

フォービエイテッドレンダリングについても言及

このレポートでは、新システムとフォービエイテッドレンダリング(※)技術の組み合わせについても触れています。レポートによれば、レンダリングの向上と注視(gaze control)による酔いの削減のために、これらの技術を使用できるとのこと。

(※フォービエイテッドレンダリング:画面をレンダリングする際、人の中心視野ほど高解像度で、そして視野の外側に行くに従って低解像度で描画する手法)

多くのVRコンテンツは、高速の移動を行う際、酔いを防ぐためFOV(視野角)を狭める手法を採用しています。このレポートではFOVを狭めず、代わりに中心視野以外の部分のアップデートレートを大幅に抑える(1Hzに設定する)方法が提示されています。

レポートではアップデートレートの差異を目立たなくする手法として、「フレームをクロスフェードさせ、モーションブラーを加えることでアップデートレートの低下を隠す」という手法が説明されています。この酔い防止システムを体験した人の感想は「概ね良好だった」としています。

プロトタイプのコントローラーも発表

マイクロソフトは、「Mise-Unseen: Using Eye-Tracking to Hide Virtual Reality Scene Changes in Plain Sight」のリリースとほぼ同時に、VRハンドコントローラーのプロトタイプを発表しました。

プロトタイプハンドコントローラーには触覚フィードバックが搭載されており、親指と人差し指で物体を掴んだ際、適切な“反発”が生じるように設計されています。公開された映像からは、同コントローラーを使用して、VR内で小さなボールをつまんだり、2つのレゴブロックの連結などを行う様子が確認できます。

(参考)UploadVR


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