3Dコンテンツのリアルタイムストリーミング技術を開発する株式会社Mawariが、1,080万ドル(2024年10月1日時点、約15.3億円)の戦略的資金調達を実施しました。Mawariは、空間コンピューティングデバイス向けに3Dコンテンツをリアルタイムでストリーミングする技術を持つ企業です。今回の資金調達により、同社は新たな市場開拓や技術開発を加速させ、XRやメタバース分野での革新的なサービス提供を目指しています。
Mawariは、2017年に設立。日本人と世界中のメンバーによるグローバル組織として活動。同社はこれまでXRの作品の制作などをしてきましたが、7年間にわたり技術開発を行ってきました。その成果として、3つの特許を取得し、さらに11件の特許を申請中です。Mawariの技術は、KDDI、BMWなど、40社以上のグローバル企業によって採用されています。
同社が提供する主要なソリューションは、Spatial Streaming SDKとMawari Networkの2つです。Spatial Streaming SDKは、UnityやUnreal Engineなどの一般的な開発環境と統合可能なツールキット。Streaming SDKにより、開発者やコンテンツクリエイターは、複雑なバックエンド処理を気にすることなく、コンテンツの制作に集中できます。
Mawari Networkは、空間コンピューティングに特化した分散型GPUによるコンテンツ配信ネットワークです。世界中に戦略的に配置されたGPU対応のノードを活用し、低レイテンシで最適なパフォーマンスを提供。Mawari Networkにより、VR/MRヘッドセット「Meta Quest 3」や「Apple Vision Pro」等の空間コンピューティングデバイスに、リアルタイムで3Dコンテンツをストリーミングすることが可能になります。
Mawari NetworkはDePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network)の概念を採用しており、従来の集中型ネットワークの制限を克服しています。この仕組みにより、3Dコンテンツの効率的な配信と拡張が可能となり、世界中のユーザーにシームレスで高品質な体験を提供できるとのことです。
今回の資金調達では、Anfield LTD、Borderless Capital、1kxが主導し、Animoca Brands Japan、Samsung Next、Draper Dragonなどが参加しています。
Mawariは、この調達資金を活用して新たな市場開拓を目指しています。具体的には、Spatial Streaming SDKの改善や、分散型空間コンピューティング分野での競争力を高めるための研究開発に投資を行う予定です。また、アジアや南北アメリカにおける空間コンピューティングデバイスやプログラミングの進化に合わせ、より多くの顧客や市場にリーチするための事業開発にも注力していく、とのこと。
さらに、2024年第4四半期にはノードライセンスの販売を開始し、空間コンピューティングネットワークの分散化と拡張を目指しています。これにより、より多くの人々が3Dインターネットの構築に参加できるプラットフォームが実現することが期待されています。
Mawariの創設者兼CEOであるルイス・オスカル・ラミレス氏は、「私たちのビジョンは、常にすべての人々に没入型体験を提供することです。今回の投資により、より幅広いコミュニティで私たちとともに3Dインターネットを構築できるプラットフォームが解放されるでしょう」と述べています。
(参考)プレスリリース