ARデバイス向け光学技術の開発を手がけるLumusは、新たなAR光学エンジン「Z-30」を発表しました。Z-30は、同社の最新のウェーブガイド技術を採用し、30度の視野角を実現。同社の従来モデルと比較して重量と体積を50%削減。標準的な眼鏡と同じような外観でのデバイス設計を可能にしています。
Z-30光学エンジンは、720×720ピクセルの解像度とフルカラー表示に対応し、1ワットあたり3,000ニトを超える明るさを実現します。重量は14.5gで、Lumusの前モデルのZ-50と同等の画質を保ちながら、より小型で軽量なARグラスの開発を可能にします。
新しい光学エンジンの主な利点として、バッテリー寿命の延長、より滑らかな視覚体験、そして処理要件の低減が挙げられます。あえて視野角を30度に設定することで、レンダリングに必要なピクセル数が減少し、より効率的な動作が可能となったとのこと。また、Z-Lensウェーブガイドアーキテクチャの採用により、マイクロLEDプロジェクターとの互換性や、視力矯正レンズや保護プラスチックを組み込むことが可能です。
一方で、30度という視野角は、より没入感のある体験を求めるユーザーにとっては制限となる可能性があります。しかし、Lumus CEOのAri Grobman氏は、一般ユーザ向けエントリーモデルとして視野角30度は機能面で十分であるという見解を示し、視野角の拡大よりも標準的な眼鏡のような外観を実現する点の重要性を強調しました。
Lumusは2000年に設立されたイスラエルの企業で、ARグラスの光学系であるウェーブガイド技術の開発に特化しています。同社の技術は外科医が使用する手術支援システムや、パイロット向けヘッドマウントディスプレイなどの分野で実用化されています。2020年にはドイツを拠点とするグローバル産業用ガラスメーカーのSCHOTTと提携し、ウェーブガイドの量産体制を構築しています。
(参考)AUGANIX