米Infinite Realityは、AIエージェント開発を手がけるTouchcastを5億ドルで買収しました。Infinite Realityにとって過去最大規模の買収です。Touchcastの技術は、Infinite Realityが運営する音楽プラットフォーム「Napster(ナップスター)」やノーコードツールXRツール群「iR Enterprise」などに統合予定。AIエージェントを活用した音楽プレイリストの作成やコミュニティ運営、カスタマーサポートなどの機能を利用できるようになります。Infinite Realityは、今後、没入型で個別化された対話型ウェブの構築を進める方針です。
米Infinite Realityは米国を拠点とする2019年に設立された企業です。XRやAIを活用したデジタルメディアおよびeコマースの革新を目指しています。同社はこれまでに、音楽共有プラットフォーム「Napster」を2億700万ドルで買収し、3Dバーチャル空間での新しい音楽体験の提供を計画しています。
また、英国のAR/VR企業「Zappar」を4,500万ドルで買収し、WebXRプラットフォーム「Zapworks」などの製品群を統合しています。これらの買収により、Infinite RealityはXR技術とサービスの提供を強化し、没入型テクノロジーの分野での存在感を高めています。
TouchcastはAIエージェント開発企業で、特にAI活用プラットフォーム「Mentorverse」の展開に注力してきました。Mentorverseは専門知識を持つAIメンターを生成し、自然なビデオ会話を通じてユーザーにガイダンスを提供します。従来のチャットボットとは異なり、一定の人格と深い専門知識を組み合わせたマルチモーダルな対話が可能です。
同社はOpenAIの技術を基盤とし、Microsoft Azureとの戦略的パートナーシップを通じてサービスを提供しています。同社は27件の特許を保有し、米アクセンチュアなどの大手企業とも提携し、企業向けのAIソリューションを提供しています。
本買収により、Infinite Realityはより没入型で個別化された対話型ウェブの構築を加速させる方針です。具体的には、自社の製品やサービスにおいて、ユーザーエンゲージメント、カスタマーサポート、販売促進などの分野でAIエージェントを活用するとのこと。例えばNapsterではユーザーの音楽聴取向けバーチャル空間の作成や、プレイリストやコミュニティ管理などの際にAIエージェントがサポートする機能を提供。また、iR EnterpriseやiR Studioなどの自社サービス顧客には、ブランドに合わせたAIエージェントを提供し、販売拡大やカスタマーサービス機能の充実を促進するとしています。