市場調査会社IDCが、2024年第3四半期のVR/ARデバイス出荷台数に関する調査結果を発表しました。2四半期連続で減少傾向にあった出荷台数全体は12.8%増に転じ、市場は新たな成長フェーズに入ったとしています。特にMetaが市場シェアの70.8%を占め、成長を牽引。今後は、GoogleのXRデバイス向け新OS「Android XR」の参入により、市場競争が活発化する見通しを明らかにしています。
IDCの調査によれば、2024年第3四半期のVR/ARヘッドセット市場において、上位5社でシェアの90%以上を占める状況となっています。首位のMeta(シェア70.8%)は一体型VR/MRヘッドセット「Meta Quest 3」の販売を本格化し、コンテンツの充実化やプロモーション効果により出荷台数を伸ばしました。第2位には「PlayStation VR2(PSVR2)」を展開するソニー(シェア6.7%)が入り、PCゲーマー向けの展開やプロモーション施策が功を奏したとされています。以下、空間コンピュータ「Vision Pro」のApple、VR/MRヘッドセット「PICO 4 Ultra」を含むPICOシリーズを提供する中国企業ByteDance、ARグラスメーカーの中国企業XREALと続きます。
今後の市場展望について、IDCは「2025年には、MRデバイスが前年比21.7%増となる770万台の出荷となる」と予測しています。特にGoogleがXRデバイス向けの新たなOS「Android XR」で市場に再参入することで、競争が活発化する見込みです。
また、主にスマートフォンやその他デバイスに接続し、シンプルな拡張ディスプレイやコンテンツミラーリングを提供するグラス型ディスプレイ分野は、今後18ヶ月で競争が激化すると予測されています。IDCは「この分野の出荷台数は2025年に2倍以上に増加し、2028年までの年平均成長率は85.7%に達する」と予測しています。同社リサーチャーはAIとグラス型ディスプレイの相性の良さにも言及しました。
一方、Metaが開発中のARグラスプロトタイプ「Orion」のような本格的なARデバイスは「高度な技術要件やバッテリー、ディスプレイ技術の制約により、当面はニッチな市場に留まる」としながらも、「2024年の5.9万台から2028年には37.7万台まで成長する」と予測しています。
(参考)IDC