バルセロナで開催されたMobile World Congress(MWC)にて、HTC社のCEOシェール・ワン氏は同社の新たな指針として、「Vive Reality」と呼ぶVR/ARの展望を発表しました。同氏は今後5G通信の普及をきっかけに、クラウドコンピューティングによる単独動作のVR/AR端末がより強力なデバイスとなっていくと語りました。
5G通信が単独のVR/AR端末への鍵
HTCでは先日、VR部門とスマートフォン部門の合併が行われました。基調講演で語られた今後の展望では、同社はこれまで以上に没入型のプラットフォームに重点を置いていくとしています。
HTCは今後5G通信の進歩により、クラウドコンピューティングやAI技術を用いたVR/ARデバイスが広がっていくと見ています。ワン氏の基調講演では具体的なロードマップや時期についての言及はありませんでしたが、同社のビジョンはスマートフォンに限ったものではないといいます。
ワン氏は「スマートフォンは今後もエコシステムの中核をなし、多くの人にとって5Gの導入への第一歩となる」とした上で、5Gネットワークでは究極的には「単独動作のVR/AR端末が世界で最も強力なデバイスとなる」と語りました。また、「VR/ARデバイスはAIにアクセスするための最も重要なポータルとなる」とも強調しました。
クラウドコンピューティングによりハードウェアも変わる
ワン氏は講演で、5Gの重要性について以下のように述べました。
「5Gはクラウドによるスーパーコンピューターの利用を可能にし、デバイスの消費電力低減を始めVR/ARデバイスの能力を大幅に進化させます。VRやARは、ハードウェアとストレージの制約から解放されるのです。5Gを用いた単独動作のVR/ARデバイスはこれまで以上に没入感のある体験を提供し、あるいはスマートフォンの画面をVR/ARデバイスに投影することもできるようになるでしょう」
HTCはより多くの成功したベンチャーへ時間や資金を割くことで、可能な限りの損失を防いでいます。また最近ではスマートフォン部門の一部をGoogleに11億ドルで売却しており、R&D;部門の約半数もGoogleへ移籍となりました。これによって得た資金で、同社はよりVR部門を伸ばしていくのではないかと予想されています。
(参考) Road to VR
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