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統計・データ 2025.04.02

メタバース内の広告が認知や興味に好影響 博報堂がメタバース生活者定点調査の結果を発表

株式会社博報堂DYホールディングスが「メタバース生活者定点調査2024」の結果を公開しました。調査によると、メタバースサービスの利用経験者は全体の8.7%(推計約687万人)と微増傾向。また、メタバース内で企業広告に接触したユーザーの33.4%が「その企業の名前を知った」、28.3%が「その企業に興味を持った」と回答するなど、メタバース内広告が認知や興味に好影響を与えていることが示されています。

博報堂DYホールディングスは2022年から「メタバース生活者定点調査」を毎年実施しており、今回が3回目となります。調査は2024年11月に実施され、全国15〜69歳の男女を対象にインターネット調査を行いました。事前スクリーニング調査で聴取したサンプル数は79,982、本調査で3,600の有効回答を得ています。

調査結果によると、メタバース関連サービスの認知率は38.4%(推計約3,294万人)で、前年比2.1ポイント減少しました。一方、利用経験者は8.7%(推計約687万人)と、前年比0.3ポイント増加しており、利用層はゆっくりとしたペースながら着実に拡大しています。

メタバースに対するイメージとしては、「親しみの持てる」(10.8%、前年比+3.4ポイント)、「手軽な・簡単な」(9.7%、前年比+2.4ポイント)といった親和的イメージが増加している一方、「オタクが多い」(7.4%、前年比-4.0ポイント)、「先進的な・最先端」(12.4%、前年比-3.7ポイント)といったイメージは減少しています。これはメタバースが日常的な技術として認識されつつあることを示唆しています。

興味深い点として、メタバース利用者の意識や行動にも変化が見られます。「しばらく接続していないと寂しさを覚える場」と回答した利用者が52.9%(前年比+2.1ポイント)と増加する一方、「面倒くさい人間関係やしがらみを捨てられる場」(66.5%、前年比-4.7ポイント)は減少しており、メタバース内での人間関係の重要性が高まっていることがうかがえます。

合わせて、利用層が普段利用するプラットフォームとは異なる別のプラットフォームで行われるイベントに参加する動機についても変化が見られます。「普段遊んでいるサービス内で禁止されていることをやりたいから:20.6%(前年比+5.8pt)」、「自分とは異なる人・動物・モノになってみたいから:23.1%(前年比+4.3pt)」が増加している一方で、「普段仲の良いメタバースのフレンド・コミュニティメンバーが参加するから:20.8%(前年比-5.5pt)」は減少しています。

アバターを選択する際の行動についても、「他人となるべく被らないアバターを選択/作成する」(19.7%、前年比+3.3ポイント)が増加する一方、「自分がなりたいと思う/憧れている”異性”のアバターを選択/作成する」(16.8%、前年比-6.7ポイント)は減少。

同社は「一般的にメタバース内のアバター選択においては、現実世界の性別・身体的特徴に縛られる必要がないため、自分自身がなりたい理想像の姿を形成する傾向が見られてきましたが、メタバース空間でも推し活など趣味を含めたコミュニティが醸成される中で、個性を表現するために周囲のユーザーと被らない姿や、逆に周囲と趣味(推しなど)の共通点を見つけるための姿が選択指針として増加している可能性がうかがえます」と分析しています。

メタバースに関する情報源としては、「X(旧Twitter)」(32.8%、前年比+7ポイント)が大きく増加しており、特に2024年はYouTubeなどの人気配信者がメタバースに進出し、Xを中心に情報発信していることが影響していると考えられます。

メタバース内での企業広告効果については、「その企業の名前を知った」(33.4%、前年比+1.6ポイント)、「その企業に興味を持った」(28.3%、前年比+3.1ポイント)と認知・興味に好影響が確認されています。特に「その企業のSNSをフォローした」(10.7%、前年比+5.0ポイント)が大きく増加しており、メタバースからSNSへの導線が強化されていることがわかります。

メタバース利用層/興味あり未利用層の双方に人気な好きなコンテンツや有名人ジャンルとしては、「男性アイドル・タレント・俳優」と明らかになりました。利用層では「お笑いバラエティ」「YouTuber/VTuber」「日常系アニメ」と、メタバースとも関連性のあるコンテンツが並ぶ一方、興味あり未利用層では「お笑いバラエティ」「アクション映画」「ポップミュージック」などが上位に、「VTuber」は下位にランキングされています。

また、今回の調査では新たな試みとして、博報堂生活技術研究所の「メタバース生活者ラボ」と共同で「メタバースサービス ペルソナ図鑑」を作成しました。これは30のメタバースサービスのユーザーペルソナを分析したもので、年齢や性別などのデモグラフィック情報、好きなコンテンツ、サービス重視点、支出カテゴリ、利用のきっかけなどをサービスごとに詳細に分析しているとのことです。

メタバースサービス ペルソナ図鑑の詳細については、メタバース生活者ラボへの問い合わせが必要です。

(参考)博報堂DYホールディングス


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