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活用事例 2015.10.29

VR中でのマルチタスク環境の実現を目指すEnvelop VR、400万ドルを資金調達

VR中でのマルチタスク環境の実現を目指すEnvelop VRは、400万ドル(約4.8億円)の資金調達を行ったことを明らかにしました。

Envelop VRは、2014年にワシントン州ベルビューで設立された企業です。2015年6月には200万ドルを調達し、7月にはヒューマンインターフェースの先駆者であるThomas A. Furness氏を迎え入れました。今回の400万ドルの資金調達を受けて、彼らはソフトウェアの開発を加速化させます。

公式HPの事業紹介によれば、Envelop VRは「仕事・創作・遊びの新たなソフトウェアプラットフォームを創る」企業であり、現在「VRがコンピュータと人間の関わり方を変える」ことに着目しています。2015年6月には200万ドル(約2億円)の資金調達を行っています。

例えば、VR上では従来の長方形2Dディスプレイが必要なくなるなど、従来のプラットフォームでは実現不可能なこともVRでは簡単に実装できるでしょう。「モニターに制限がなくなる」ことの他には「3Dデータ・製品のビジュアル化」なども考えられています。

Envelop VRは、VR上でVR開発を行う環境を実現するためのプラットフォームの開発を進めています。

アメリカのVR専門メディアUploadVRは、Envelop VRにインタビューを行い、事業内容などについての詳しい話を聴いています。

UploadVRのインタビューの中で、Envelop VRのCTO、Jon Mavorは、彼らの目的をWindows用の「VRのシェル※」のようなものを創ることだと語りました。このシェルは、コンピュータと人間のやり取りを改善し、HMDを外すことなく、VR上でVR空間内でマルチタスクを可能にしてくれるものです。

(※訳注 シェルとは、ユーザーからのインプットをコンピュータにわかるように翻訳して引き渡し、コンピュータが出した結果をユーザーに分かる形でアウトプットする部分。例えばWindowsでは、シェルがコンピュータと人間を仲介して、操作を視覚的なものに翻訳してくれているので、我々はプログラムを書かずとも、マウスのクリックのみで直感的にコンピュータ操作ができる)

「最終的な市場は、VR上でコンピュータとやり取りをしたいと思う人々です」とJon Mavor氏は述べました。「手を使うインプットの方法には様々なものがあります。我々は、そういったあらゆるものに対応したいと思っています。コントローラーでコードを打つようなことにはならないでしょう」

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VRコンテンツの開発の現状は、極めて面倒なものです。現在の開発者達はヘッドセットを被っては外し、プログラムを修正することを繰り返しています。他にも、それぞれのアプリは独立して動いているので、VR体験中にSkypeをしたくなった場合、わざわざヘッドセットを外さなければいけない、などの問題があります。

Envelopは、ヘッドセットをずっと被ったまま、様々なタスクをVR上で行える環境の実現を目指しています。

VR上で一括して様々なタスクを行うという発想は、何もVRデバイスに限った話ではありません。我々はPC上で当然のように複数の窓を用い、テレビを見ながら第二のスクリーンとしてスマートフォンやタブレット端末を利用しています。
そう考えると、一人あたり一度にひとつしか体験できないVRプラットフォームでは満足できなくなるのは当然のことなのです。

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10月28日にEnvelopがワシントン州主催する「SEA-VR」では、Envelopのデモが公開されました。また彼らは、2016年第一四半期のOculus RifなどPC向けVRヘッドマウントディスプレイの一般発売に合わせて今年冬には「Envelop VRのベータ版」を小規模開発者向けに配信する予定です。

(参考)
Upload VR / Envelop raises $4 million for multi-tasking VR software
http://uploadvr.com/envelop-raises-4-million-multi-tasking-vr-software/

Upload VR / Envelop VR is trying solve virtual reality’s multi-tasking problem
http://uploadvr.com/unlocking-mystery-envelop-vr/

※アメリカのVR専門メディアRoad to VR、UploadVRはMogura VRとのパートナーシップを結んでいます。


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