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テック 2018.09.10

大日本印刷が“VR美術館”システム開発 作品を手に取って鑑賞・購入も

大日本印刷株式会社(DNP)は、VR空間に作られた仮想の美術館で芸術作品を鑑賞できるシステム「DNP Virtual Gallery(バーチャルギャラリー)」を開発しました。彫刻などの立体作品や絵画を手に取っているかのように見たり、VR空間で気に入った作品の複製を購入できる機能も搭載しています。DNPは本システムを美術館や博物館、出版社などへ提供していく余地恵です。


(DNP Virtual GalleryのVR空間内の外観)

開発の背景

近年、さまざまな芸術作品や文化財のデジタルアーカイブ化が進んでいます。また美術館や博物館ではそのデータを活用して、多くの人に美術・芸術鑑賞の機会を提供していく機運が高まっています。

DNPは、これまで培ってきたデジタル技術による新たな美術鑑賞システムの開発ノウハウと、作品の色調や質感などを限りなく忠実に再現する高精細な複製印刷技術を活用。「VRによる鑑賞」と「複製作品の購入」を同時に実現する「DNPバーチャルギャラリー」を開発しました。

バーチャルギャラリーの特長

「DNPバーチャルギャラリー」には次のような特長があります。

作品を間近に鑑賞することが可能

鑑賞時に一定の距離を置く美術館や博物館に対し、VR空間では作品を実際に手に取っているかのように間近で鑑賞し、ディテールも含めて楽しむことができます。ギャラリー内では絵画のほか、彫刻などの立体物、動画や360度ぐるりと鑑賞できるパノラマVRも楽しめます。バーチャル展示ルーム1フロアあたりに展示できるのは10作品ですが、フロア数を増やすことで、大量の作品も展示できます。

高精細複製画も販売

VR空間に展示されている絵画作品などの高精細複製画を、利用者が購入できる機能を搭載しています。購入申込みをするとバーコードシートが出力され、複製作品と交換できる機能もあります。

短期間・低コストで導入が可能

DNPバーチャルギャラリーと同様のものを制作する場合、DNPの従来のVRの制作方法であれば、半年以上の期間と相当の制作費用が必要でした。これに対して本システムでは、「美術館の外観や内観」「作品別展示ルーム」「絵画の額」などがテンプレート化されています。そのため、絵画等の画像や動画のデジタルデータがあれば、従来よりも短期間・低コスト(※)で導入できます。

展示する作品などのコンテンツの入れ替えも容易で、ギャラリー内の壁紙や絨毯、額なども複数のテンプレートから選択可能です。

(※DNPの従来のVRの制作方法で、1フロア分(展示作品10点まで)のDNPバーチャルギャラリーを制作した場合との比較、とのこと)

システム価格

・初期導入費 : 200万円~
・コンテンツ入替作業費 : 20万円~/1回
・リース費 : 30万円~/1日
・初期導入費は、作品10点まで展示が可能。
・システムを稼働させるPC、コントローラー、ヘッドマウントディスプレー、バーコードシート出力機などの機材費・運営は別途。

DNPは美術館や博物館、出版社などへ本システムを提供するとともに、企業のショールームや販促キャンペーン等にも活用していきます。2020年度までには3億円の売上を目指すとのことです。

(参考)大日本印刷株式会社ニュースリリース


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