イスラエルのAIスタートアップDecartが、AIを活用してゲームのような3D空間をリアルタイムで生成する世界モデル「Oasis」の展開で注目を集めています。同社は12月19日にシリーズAラウンドで3,200万ドルを調達、2ヶ月前には2,100万ドルを調達したばかり。企業評価額は5億ドルを超えました。
イスラエル・テルアビブと米サンフランシスコに拠点を置くDecartは、2024年10月末に2,100万ドルのシーズラウンドでの調達を発表し、その際に「Oasis」を公開しました。今回のシリーズAラウンドでの調達はBenchmark が主導し、SequoiaとZeev Venturesが参加。3,200 万ドルを調達しました。企業評価額は前回の調達から2か月足らずで約5倍の5億ドル超を記録しています。
Decartが開発する「Oasis」は、Minecraftのようなゲームプレイをリアルタイムで生成するAIモデルです。このAIモデルは、Minecraftのゲームプレイ映像をトレーニングデータとして使用し、キーボードやマウスの入力に応じて物理演算やルール、グラフィックスをリアルタイムで生成します。TechCrunchの記者が体験した際のレポートでは「解像度が低く、生成した空間を維持できる時間が短い」という課題が指摘されていますが、同社は今後、高性能GPUを用いて4K解像度でのゲームプレイ生成を目指すとしています。
「Oasis」は「世界モデル」と呼ばれる新しいAIカテゴリーに属しています。世界モデルは、3D空間やゲームをシミュレートできるAIモデルですが、「Oasis」のようにリアルタイムでフレームを生成できるモデルは珍しいとされています。
Introducing Oasis: the first playable AI-generated game.
We partnered with @DecartAI to build a real-time, interactive world model that runs >10x faster on Sohu. We’re open-sourcing the model architecture, weights, and research.
Here’s how it works (and a demo you can play!): pic.twitter.com/X39vkx3WID
— Etched (@Etched) October 31, 2024
Decartは、26歳のDean Leitersdorf氏が創業したスタートアップです。イスラエル国防軍情報部隊でAI部門を立ち上げ、14年間運営したMoshe Shalev氏が共同創業者として参画しています。同社はAIの研究開発に加え、企業向けにはGPU使用の最適化ソフトウェアを提供し、すでに数百万ドルの収益を上げていると言われています。
今後、Decartは「Oasis」の発展形として、特別なハードウェアを必要としないAR/VR体験の提供を計画しているとのこと。Leitersdorf氏はTechCrunchの取材に対し、「(VR/AR産業におけるこれまでの問題点は)ハードウェアから出発した点です。しかしハードウェア構築は難しく、人々に新しいハードウェアを体験してもらい、かつ普及させることは非常に困難です。生成AIの利点は、ハードウェアの準備ができる前に、実際にソフトウェア面でAR体験を提供できることです」とコメントしています。
(参考)Decart、TechCrunch