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活用事例 2016.12.30

浮き彫りになってきた中国のスマホVR市場の課題

12月20日、VRデバイスの販売などを行う中国の暴風魔鏡社は北京にて「VRの進化」をテーマにした新製品発表会を行い、199元(約3,300円)のVRHMD「暴風魔鏡S1」と2,499元(約42,000円)のスタンドアロン型VRデバイス「Matrix」を公開しました。

中国から3Kの一体型VRデバイスMatrixが登場 価格は約4万2,000円

米クァルコムの副社長で中国地域マーケティング責任者の邱胜氏は発表会に出席し、前海梧桐基金設立者の谢闻栗氏は将来的に暴風魔鏡社に数千万元の資金調達をする予定があると話しました。

暴風魔鏡S1

暴風魔鏡社含めVRデバイスは複数の中国企業が販売を行っていますが、消費者にはコンテンツ不足のためにVRデバイスをどう使えばよいのかわからないのが課題となっています。中国のVRメディア87870.comは、モバイルVRに対する考えを載せています。

87870の分析するモバイルVR市場動向

発表会の冒頭で冯鑫氏は「中国VR元年、冬か春か」を題にスピーチを行いました。まずはVR産業の発展についていくつかのデバイスの例を挙げました。暴風魔鏡社が2015年に開発したスタンドアロン型VRデバイス「魔ONE」に言及しなかったのが気になるところです。

「魔ONE」は結局リリースされませんでしたが、同様のスタンドアロン型VRデバイス「Matrix」が大規模に生産・普及できるかが焦点となります。暴風魔鏡社はモバイルVR市場に楽観的な態度を示していますが、先日発表を行った際には具体的なゲームやアプリには言及しませんでした。

冯鑫氏によるスピーチ

スマホVRデバイスは確かに中国国民の日常生活に、普通の人にもVRとは何かを伝えることができました。しかし、モバイルVRはあくまでも入門で、よりよいVRコンテンツを体験したい場合、より高い没入感は不可欠です。

モバイルVRは画像処理、電力消費、位置トラッキング、演算能力、放熱性能などが限られているため、VRの体験はそこまで優れているとは言えません。とはいっても、モバイルVR市場に魅力がないというわけではありません。重要なのは、モバイルVRに適したコンテンツを開発することです。

2016年末以降、資本の動きとして、VR関連市場は「冬」を迎えます。しかし、逆に業界バブルの発生が避けられ、良い製品を作ることに専念する会社とビジネスモデルを研究する会社も増えたため、悪い影響だけではないと考えられます。今後2年間、VR市場は大きく好転しないと推測されていますが、存続さえできればまた市場の繁盛期が迎えられると考えています。

Google Cardboard

モバイル向けVRヘッドセットを展開している企業として、Googleの展開するVRヘッドセット「Cardboard」は、仕様書をオープンソースで開放しており、誰でもCardboardを作ることができるのが大きな特徴です。またサムスンのGearVRも存在しており、スタンドアローンで使用できるVRデバイスも各メーカーに注目されています。

これらの企業の動きをみると、モバイルVRが今後重視されていくことは違いありません。AMDの楚含进氏の考えでは、大手メーカーがVR領域に注力した場合、技術の成熟につながり、人々のVRへのニーズも増加する可能性があります。もしすべてのツールがVRを中心に作られたなら、人々の生活にも根付くのではないでしょうか。

中国ではスマホVRが爆発的に量産され、販売されていますが、その課題は日本や欧米とも全く同じで「高品質なVRの入り口にすぎない」「いかに品質を挙げていくか」といった点です。

今後中国のメーカーが高品質化にどのように取り組んでいくのか、注目です。

(参考)

思考:暴风叕发新品 移动VR市场还是“一锅粥”

http://news.87870.com/xinwennr-17494.html


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