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業界動向 2022.04.08

日銀黒田総裁がメタバースについて言及、「地理的制約を超えることで、消費者の選択肢が増えていく」

2022年3月29日、フィンテック関連の国際シンポジウム「FIN/SUM 2022」にて、日本銀行総裁を務める黒田東彦氏がメタバースについて言及しました。黒田総裁がメタバースについて言及するのは初。

フィンテックに関するシンポジウムで言及

「FIN/SUM 2022」はフィンテックに関する国際シンポジウム。2022年は3月29日から31日にかけて開催され、金融・決済インフラの今後や分散型金融への対応などについてのディスカッションが行われました。

同シンポジウムの挨拶にて、黒田氏が言及した内容は以下の通りです。

現在、デジタル化は、様々な分野において、「新結合」を作り出しています。

かつて、消費者向け金融サービスは、店舗において対面で提供されるものでありました。今やインターネットやスマートフォンの普及により、オンラインでの銀行取引や証券取引、スマートフォンを活用した決済サービスなど、デジタル化された非対面の金融サービスは珍しくありません。コロナ禍は、こうしたデジタルチャネルを通じたサービスへの需要を、年代を問わず、高めることになりました。

デジタルな世界では、地理的な制約がありません。最近、「メタバース」という言葉がよく聞かれます。英語の「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語で、もとはSF作家のニール・スティーヴンスンが1992年に発表した小説『スノウ・クラッシュ』に登場する架空の仮想空間サービスの名称ですが、現在では様々な主体のアバターと呼ばれる分身が、地理的制約を超えて、様々な活動を行うことを指して広く使われています。メタバースに限ったことではありませんが、デジタル世界の特性は、事業者と消費者との新たな組み合わせを生む可能性を秘めています。生活圏に制約されず、様々な事業者へのアクセスが可能となることで、消費者は、そのニーズに最適なサービスを受けることが容易となっていきます。こうした環境は、事業者が新たな、優れたサービスを開発するインセンティブ付けともなるでしょう。地理的条件に制約されていた時に比べて広い市場が設定されることで、消費者のニッチな需要に応えるサービスについてもビジネス化が可能となり、消費者の選択肢は増えていくことが期待できます。

(引用:日本銀行の公表資料より)

黒田氏は続けて、生活圏に左右されない、デジタルチャネルを通じた様々な金融サービスについて言及。「その際、念頭に置いておくべきことの一つは、すべての金融事業者が一様なデジタルサービスを消費者に提供することは難しく、また、それが正しいわけでもないということです。事業者がデジタルサービスを供給する能力も、消費者がデジタルなサービスを受入れる度合いも一様ではありません。加えて、消費者が求めるサービスの内容も一様ではありません」とし、多用なニーズに応える事業者と、デジタルを通したサービスに積極的なユーザーの組み合わせを期待したい、とコメントしています。

(参考)日本銀行


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