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活用事例 2018.05.11

“見るAR”ではなく“聴くAR” エイベックスがAR事業本格参入

エイベックス株式会社は、音声によるAR(拡張現実)コンテンツのシステム開発・コンテンツ制作・営業・コンサルティング事業として「SARF(サーフ)」を開始します。

同社は従来の視覚によるARと比べ、幅広いシチュエーションでの導入が可能な聴覚によるARを提供。音楽の新しい楽しみ方、新しい体験の創出を目的として、音声AR事業に本格参入します。

「SARF」とは

「SARF(Sound Augmented Reality Factory)」事業は、音楽の新しい楽しみ方、新しい体験を、ARの仕組みを用いて演出する取り組みです。スマートフォン・PC・AIスピーカーなどの既存デバイスと定額制音楽ストリーミング配信サービスを結合し、音楽コンテンツを含むサウンド(聴覚)や振動(感覚)によって、今までに無いAR体験をリリースしていきます。

現状主流のARコンテンツ及びデバイスの開発は、現実空間上に新たなビジュアル情報を重ねて表示するといった、“視覚”の拡張を前提するものです。これらのARはスマートフォンなど既存のデバイスの画面に依存しているため、視聴範囲の制限が課題となっています。また、それを解消するデバイスもいまだ開発段階のため、ARを最大限享受できない状況が見受けられました。

「SARF」がベースとする音声ARは、デバイスの制約や利用シーンの制約を受けない聴覚による拡張を前提としています。視覚によるARと比べて、幅広いシチュエーションでの導入が可能です。

音声ARコンテンツ「AWALK」

「SARF」の第一弾として、5月18日(金)から定額制音楽ストリーミング配信サービス「AWA(アワ)」と「渋谷区観光協会」とのコラボレーション企画「AWALK(アウォーク)」を行います。大塚 愛がナビゲーターを務める渋谷の観光ガイド・コンテンツなど3つの音声ARコンテンツが体験できます。

「AWALK by AWA / creative directed by SARF」の配信コンテンツは、以下の通りです。

「AWALK TOKYO散歩 by 大塚 愛」

大塚 愛 自身がナビゲーターを務める観光ガイド・コンテンツ。ユーザーは、音声ガイドに従い、表参道交差点から渋谷駅までのルートを散策します。大塚 愛の東京をテーマとした楽曲「TOKYO散歩」をBGMに、渋谷区の観光案内、クイズやおすすめスポットの紹介などが楽しめます。

「AWALK in SHIBUYA by FAMM’IN」

渋谷区観光大使でもあるFAMM’INの楽曲をBGMとした「サウンドARゲーム」。渋谷駅からラフォーレ原宿までのルートを2人1組で没入体験するRPGコンテンツです。謎解きやリアルショップとの連動企画が盛り込まれています。

「AWALK in “MAGNET by SHIBUYA109” by Miracle Vell Magic」

渋谷スクランブル交差点近くオープンした「MAGNET by SHIBUYA109」。その館内にて、館内案内やクイズ、謎解き体験など、2人で参加し楽しめるコンテンツです。

今後の事業展開

「SARF」は、今後、4つの事業カテゴリーにおいて、展開していく予定です。

観光事業

Wi-Fiやビーコンなどを活用し、観光音声ガイドを提供するシステムの構築を目指します。観光地での多言語ルート案内といった音声ナビゲーション・システムを提供。その他、音楽とトリップビア・サービスを組み合わせた「移動時間」のエンタテインメント化ソリューションなどを、旅行会社や地域の観光協会と共同で企画開発し提供します。

ゲーム開発事業

リアルな街や自然を、音声や音楽によってゲーム・フィールド化します。具体的には、観光地での宝探しやスタンプ・ラリー、街や建物を舞台にした「没入型RPGゲーム」などのサービスを、ゲーム会社や広告会社などと共同で企画開発し提供します。

ノーマライゼーション事業

視覚障害者に対するアクセシビリティの向上を目的とした「音声ガイド」の企画開発を行います。具体的には、音声AR機能を、信号や横断歩道、点字ブロックや盲導犬など、既存の物理的ソリューションと組み合わせます。これにより、安全で円滑なノーマライゼーション環境の実現を目指します。

「SARF」コンテンツ創作の民主化事業

法人によるコンテンツ提供だけではなく、個人による個人のためのコンテンツ創作を推奨・サポートを行います。一般のクリエイターのための「著作物(楽曲)利用サービス」、および「サウンドARコンテンツ制作から配信までをユビキタス化するアプリケーション」を開発する予定です。

事業の背景

エイベックスでは2017年から、XRコンテンツや、それらを用いたメディアアートを多数発表。同社のインハウス・クリエイティヴ・チーム「2nd Function」を中心に、音声ARの事業の開発を進めてきました。

その結果、これまで「音楽」に限定していた定額制音楽ストリーミング配信サービスのサービスを「音声全般」に拡大し、より手軽に「サウンドAR体験」を実現するエコシステムを考案しました。エコシステム化に向けた最初の取り組みとして、音声ARコンンテンツ制作事業「SARF」を新たに設立するに至りました。

”聴覚”による現実の拡張(AR)については、NECが音響AR技術を、Boseが視覚に合わせて音声ガイドを行うデバイスを発表しています。「AWALK」が体験できる場所はまだ限定されていますが、今後音によるARがどのように普及していくのか、注目されます。

(参考)エイベックス株式会社プレスリリース


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