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テック 2017.02.07

アップル、新たなウェアラブルデバイスとARデバイスの特許を取得


最初のiPhoneが登場したとき、スティーブ・ジョブス氏はiPhoneのすべてを特許化すると述べていたほど特許戦略を重視していました。ジョブス氏が去った後もこの方針は継続しているのか、先週にも新たに2件の新しい特許が公開されました。両特許は2014年にMetaio社が出願し、その後Appleに買収されています。

カメラ付きウェアラブルデバイスに関する特許

特許番号9,560,273『Wearable information system having at least one camera 』は、目の前にディスプレイを配置して情報を提示するウェアラブルデバイスに関するものです。このデバイスはチップを搭載し、スマートフォンと通信する装置であるとも書かれています。

提案では、現実物をカメラで撮影し、あらかじめ登録されていたオブジェクトと一致したときに、デバイスの電力モードを省電力モードからアクティブモードに切り替えるとしています。


下図は、”頭に装着するカメラと目の前に配置されるディスプレイを表している図”として、Google Glassのような図が描かれています。

ARデバイスにおける仮想情報の提示に関する特許

特許番号9,558,581『Method for representing virtual information in a real environment 』は、先ほどのウェアラブルデバイスの特許よりもARのソフトウェア部分に着目し、現実に仮想情報を提示する方法および、提示した仮想情報と現実環境の前後関係(オクリュージョン)を正しく提示する方法について提案されています。

提案手法は、現実環境の3Dモデルを作り、現実と仮想情報のオクリュージョンをON、OFFできる仮想情報を提示するデバイスについてです。(オクリュージョンがONのときは、仮想情報を提示していても現実物よりも後ろ側にあれば隠れて見えないことを意味します。)

さらに、同特許では仮想情報を表示するさまざまな方法を提案しています。例えば、現実の風景が仮想情報で遮られたとき、現実の風景を半透明にして表示したり、現実と仮想物の境界を点線で表示します。その結果、ユーザーは、実際の風景と重ねられた仮想情報を簡単に区別できます。

アップルのARへの投資

アップルは、最初のiPhoneの発売からわずか1年後、ヘッドマウントディスプレイに関する特許を提案し始めました。その後、Gear VRのようなスマートフォンベースのARデバイスや、視野角の広いARディスプレイの特許を提案しています。

近年アップルが買収した企業を見ると、ARへの関心が高いことが分かります。アップルは、先ほどの特許を出したMetaio社の買収に加えて、マーカーレスフェイスマッピングおよびアニメーションを手がけるFaceshift社、表情認識&分析を専門とするEmotient社、大規模SLAMや、屋内ナビゲーション、センサーフュージョン、画像認識、そして3Dトラッキングを手がけるFlyby Media社を買収しています。

さらに2014年には、クパチーノ本社でAR/VRソフトウェア専門職の求人を行っていて、職務内容は、「ハイパフォーマンスのVRアプリケーションのプロトタイプ開発およびユーザーテスト」というものでした、また、数カ月後には、immersive tech including a ‘VR/AR Programmer’(没入するための技術をもつ専門家(AR/VRを含む))の求人を追加で行っています。

特許を取得したからと言って、必ずしも製品化に結びつくわけではありません。CEOのTim Cook氏は彼自身の意見として、VRに消極的な姿勢を見せています。「視聴者を体験の中に引き込むのにVRは最高にクールだが、商業的な関心は時間の経過とともに低くなるだろう。」

もし、アップルがVRに興味がないとすれば、彼らの見る先はARに向かっているとも考えられ、世界的に有名かつ巨大な同社がどのようなものを世に出してくるのか、今後も気になる展開が続きそうです。

(参考)
Apple’s New Patents Mark More Territory in AR Hardware and Software – (英語)
http://www.roadtovr.com/apples-latest-patents-mark-territory-ar-headset-hardware-software/

※Mogura VR は、Road to VRとパートナーシップを結んでいます。


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