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活用事例 2025.06.16

うつ病向け「VRデジタル療法」のBiPSEEが治験準備へ 繰り返す否定的思考をバーチャル空間でメタ認知

株式会社BiPSEEは、うつ病に対するVRデジタル療法の特定臨床研究を完了し、2025年中の治験開始に向けた準備を進めていると発表しました。今回の研究は高知大学医学部附属病院との共同で実施され、薬物療法では効果が出にくい「反すう」症状を持つ患者に対する新たな治療選択肢となる可能性が示されました。

この特定臨床研究は、臨床研究法に基づく医師主導の研究として実施されました。被験者は50名(うち症例数47名)で、介入群と対照群に分けて8週間の治療と4週間の追跡調査を行い、うつ病の重症度を評価する指標「HAM-Dスコア」の変化を主な評価項目としました。

うつ病患者のうち、初回の抗うつ薬で効果が得られる患者は全体の3分の1にとどまり、60%以上が再発を経験するとされます。特に、過剰な自己注目や否定的思考を繰り返す「反すう」症状を伴うタイプのうつ病は、薬の効果が出にくい傾向があります。こうした背景から、新たな治療法として非薬物療法の活用が求められています。

BiPSEEのVRデジタル療法(VRx)は、8週間のプログラムで反すうの軽減を目指す内容です。メタ認知療法や認知行動療法を基に、患者が行動・認知変容のためのスキルを習得できる構成になっています。VRとスマートフォンアプリを組み合わせた没入型のエクササイズでは、客観視や想像力を用いて自身の思考や感情との距離を取ることを学びます。さらに、自宅で継続して実施できるよう設計されており、医療現場の負担軽減にもつながる設計です。

研究結果では、VRデジタル療法を併用したグループにおいて、薬物治療のみを受けた対照群と比べてうつ病スコアの大幅な改善が確認されました。この結果から、反すうを伴う中等症以上のうつ病患者における本療法の有効性が示唆されています。

BiPSEEは2017年に設立され、VRやAIを活用したメンタルケアソリューションの開発に取り組む企業です。東京都渋谷区に拠点を置いています。同社が開発中のうつ病向けVRデジタル療法は、厚生労働省の優先審査対象として選定されており、複数の公的・民間機関からの支援実績もあります。

同社はこれまでに、投資ファンドや地方金融機関からの出資を受け、VRデジタル療法の研究開発を進めてきました。今後の展開として、2025年中の治験開始を目指し、規制当局との調整を続けています。また、本研究の成果は論文としての発表も予定されています。

共同研究者の高知大学医学部 神経精神科学講座 數井裕光教授は、「デジタルツールの活用は、本人自らの意志で治療を行うという能動的姿勢を支援し、同時に従来の非薬物療法では避けがたい治療者による心理的侵襲を低減させる可能性があります。(中略)今回の研究では、患者の時間的・経済的な負担の軽減も目指し、VR視聴は自宅で行われました。近い将来、VRデジタル療法が、うつ病治療の新たな選択肢となることを期待しています」とコメントしています。

(参考)プレスリリース株式会社BiPSEE


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