Niantic Spatial Inc.とSnap Inc.が、ARとAIの融合を目指し、次世代空間マップの共同開発に向けた戦略的提携を発表しました。このマップは、ARグラスやAIエージェントが現実世界を正確に把握し、相互作用できる空間インテリジェンスの基盤となることを目指しています。Snapは本提携に伴い、Niantic Spatialへの追加投資も実施します。
今回の提携では、Niantic SpatialのVPS(Visual Positioning System)を活用し、Snapは数百万の実在する場所にARコンテンツをセンチメートル単位で配置できる次世代マップ機能を構築・活用します。SnapchatやARグラス「Spectacles」などを通じて、現実の場所にリンクしたAR体験を提供することが可能になります。
Snapchatのユーザーが新たな場所をスキャンすることで、マップは継続的に拡張されていきます。こうしたマップの共有は、ARが現実世界とより密接に結びつくための鍵となり、空間インテリジェンスの進化を促進するとしています。
2025年後半には、Niantic Spatialのスキャン技術とVPSが、Snapの開発ツール「Lens Studio」やSnapchat本体、Spectaclesに統合される予定です。40万人のARクリエイターが新たなAR体験を世界中で創出し、Snapchatユーザーは単なる画面上の演出にとどまらず、現実世界に溶け込むようなAR体験の構築や共有が可能となります。都市の広場でのバーチャルイベントや、特定の場所でのみ作動するARポータルなどが活用方法として想定されています。
Niantic SpatialのCEO、ジョン・ハンケ氏は「ARグラスやAIエージェントを支える空間インテリジェンスの基盤構築に向け、Snapと連携できることを誇りに思う」と述べています。SnapのCEOであるエヴァン・シュピーゲル氏も、人間中心のコンピューティング体験の実現に向けた期待を示しました。
Niantic Spatialは、2024年5月にNianticからスピンアウトした地理空間AIスタートアップです。2億5,000万ドル(約359億円)の資金を調達し、現実世界を理解するAI基盤の構築に取り組んでいます。
同社が開発する「Niantic Spatial Platform」には、VPSに加え、3Dスキャン技術「Gaussian Splatting」や開発者向けのSDKが統合されています。また、特に注目されるのが大規模地理空間モデル「LGM(Large Geospatial Model)」の開発です。LGMは300億枚以上の画像データを基に構築されており、物体の位置だけでなく意味や周囲との関係まで理解する機能を備えています。
LGMとVPSを活用することで、AIは常に周囲を認識し、人間に近い方法で世界を理解・移動できるようになります。たとえば、快適なベンチや日差しの多い歩道といった場所の特性や文脈を把握できます。
現在、Niantic Spatialは物流や不動産、製造、エンターテインメント、行政分野などで実証実験を実施しています。ロンドンとオックスフォードの研究チームは、すでに240件の特許を取得し、238件を出願中です。短期的には業務向けのソリューション、長期的にはARグラスなどを支えるAI基盤の構築が進められています。
(参考)プレスリリース
