業界動向 2019.12.31

【VR/AR/MR業界編】キーパーソン33名が語る、2019年と2020年

株式会社gumi 代表取締役会長
国光 宏尚

Q1 2019年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

2018年度のVR HMD普及台数は500万台。19年度は1200万台と順調な成長を見せました。

Oculus Questが皆んなの期待通り順調なスタートを切りました。ユーザーからの評価も高くスタンドアロン型6DoFのHMDは間違いなく大ブレークする確信が持てました。ソフトのセールスでもBeat Sabarが150万本を突破、SuperHot VRも100万本近く売るなど良いゲームを出せばお客さんはついてくるのが証明できました。

超ハイエンドHMD、価格が1000ドルもするVALVE INDEXが恐らく30万台以上売れたのも驚きました。ローンチタイトルBoneWorksは3日で20万本を売り、ハイエンドVRも引き続き凄い支持を集めているのが分かりました。

Q2 2020年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

Oculus Questは引き続き順調に成長を続けると思います。我々にとって大きいのがFacebookが2020年最注力エリアを日本に決めて、本気でマーケティングに取り組んでくれるのは期待大です。加えてキャリアの5GのキラーユースケースとしてVR/ARが激推しされるのも普及に貢献すると思います。2020年は5G×XR×東京オリンピックの年だったなと記憶される年になると思います。欧米ではキラーコンテンツがゲームだけの中、日本はゲームはもちろんVtuberやDMMなど幅広いコンテンツがあるのも普及の後押しになると思います。

ハイエンドVRはValveが3月にHalf-Life: Alyxをローンチ予定。PC版のHalf-Life2は通算1000万本以上を売り上げたバケモノタイトルなので、多くのPCゲームユーザーがこれを機にVRにやってくるのは間違いないです。そのタイミングでCounter-Strike VRの発表もあるのではと踏んでいます。12月にはPS5の発売もあるので、ソニーも大きな打ち出しをしてくると思います。

これらも踏まえて2020年のVR HMDの普及台数は3000万台-3500万台。任天堂Switchの4000万台に迫るところまで来ると思います。ちなみにSwitchの19年度ソフト販売本数は1.2億本。この規模になるとミリオンセールになるゲームも増えて大手にとっても魅力的な市場になり参入は増えて成長の後押しになると思います。

よむネコの「ソード・オブ・ガルガンチュア」はいよいよPSVR向けに発売します。更にmodや多人数で集まれるロビー、新しいボスの追加、多彩なアバターやジョブの追加、世界初のVR PvP、「デュエル・オブ・ガルガンチュア」など盛り沢山のアップデートを予定しています。SAOの実現に向けて頑張ります!LAのinXileと共同開発している世界初のオープンワールドサバイバルシューター「Frost Point」が春先にローンチされます。こちらも凄く期待しています。

ソフトバンク株式会社 サービス企画本部 VR事業推進課 課長
加藤 欽一

Q1 2019年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

1番は、Oculus Questの発売。PC不要になったことで本格的VRゲームが手軽に楽しめるようになり、人気のBeat SaverやSuper Hotなど更に売上が伸び業界活性化にも大きな影響でした。Questのローンチタイトルに、日本の東京クロノス、ソード・オブ・ガルガンチュアが入った快挙も、納得の素晴らしいコンテンツです。
2番は、5Gの大容量通信にVRがとても相性が良く、5Gプレサービスの代表的ユースケースとなりました。弊社でも、野球、バスケ、音楽フェスなど幅広く実施しました。
3番は、弊社ごとですが、世界初のプロ野球のVRライブ配信をシーズン通して実施したことです。意欲的な取り組みでしたが、無事に実施することができました。

Q2 2020年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、Mogura VR読者へのメッセージ

ハードはますます進化し、軽量化と廉価化が期待できます。よりグラス型に近付くと思います。実用レベルのARグラスが出てくるので、AR/VR=XRとしてそれぞれユースケースが確立されていきます。また、5Gによって、より高解像度のコンテンツが楽しめるようになります。弊社も常に先頭を走るべく、様々な準備をしてますのでご期待ください!

KDDI株式会社 パーソナル事業本部 サービス本部 プロダクト開発1部 副部長
上月 勝博

Q1 2019年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

KDDIでは2019年より5G時代を見据え「UNLIMITED WORLD」という世界観を展開し、大容量のデータを、瞬時に、ストレスなく、自由に、かつ安心して扱えることを目指し取り組んできました。今までの制約から解放された5Gによる「つながり続ける世界」の実現と同時に「体験価値を拡張する」という拡張現実(AUGMENT REALITY)のワードに、「“AU”GMENT」と、au自身の存在を込めて、スポーツやエンターテイメント、アートなど、街中を含めさまざまな体験価値の提供を目指してきました。5G+XRでどのようなことが実現できるか?ということに拘り、多くのパートナー企業・団体、自治体の方々と共に試行錯誤を重ねながらその可能性を探求することができ、またXR技術の進化も著しくとても有意義な一年となりました。自社関連となりますが、コンシューマ需要への対応も期待できるNreal LTDのMRグラス「NrealLight」の登場、及び同社との戦略的パートナーシップの提携や日本国内でのARクラウド実現に向けたSturfee社とのVPSの構築やそのトライアルの公開が印象的な取り組みとなりました。

Q2 2020年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

2020年春にはいよいよ5G商用サービスが開始されます。これまでの協創で得られた経験をベースに、通信とサービス、さらにXR関連デバイスを高次元に融合させ5G時代ならではの空間コンピューティング(SPATIAL COMPUTING)環境を、皆さま方と共にお客さまの手に届くかたちで提供できる年にしたいと思っております。是非ご一緒に「おもしろいほうの未来」に向けて2020年も活動したく、引き続きよろしくお願いいたします。

HTC NIPPON株式会社 代表取締役社長
児島 全克

Q1 2019年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

ハードウェアの種類が豊富になりお客様の選択肢が増え、用途に応じたハードウェアが出そろってきた年となったという点と、まだトライアルの域はそれほど出ていないものの法人のお客様がVR・ARの実際の活用法を見出して注目されてきたという点があると思います。
HTCでは、例年通りVR業界に新しい技術革新をインプットする意味で、アイトラッキング機能を標準装備したモデル(VIVE Pro Eye)、6DoFコントローラ付きのオールインワンモデル(VIVE Focus Plus)、また一般の方々向けにリーズナブルな価格帯のインサイドアウト方式であるモデル(Cosmos)をリリースしたりと多くの製品を発表させて頂きました。
一方トレンド・コンテンツとしては、バーチャルマーケットを初め、バーチャルアバターによる音楽配信など、コンテンツが少しづつビジネスになってきたことや、法人の方々がVRによって効率化・視覚化による利益が見えてきた年でもあったと思います。

Q2 2020年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

 2020年は5Gの商用化を迎えより多くのIOT機器が世の中に出てくると思います。
VRに関しても5Gという新しいワイヤレス化の可能性によりさらに新たなユースケースが可視化してくるのではないかと期待しています。
HTCでも通信技術におけるこれまでのノウハウを生かし、通信とVRと融合させることによって、デベロッパーやユーザーの方々に新しい可能性を提示していけたらと思いますので、これまでと同様、ご支援のほど宜しくお願いいたします


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