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活用事例 2018.03.22

グーグル、実写VRの未来・ライトフィールド技術のLytro買収か

米メディアTechCrunchは、グーグルがライトフィールド技術を開発するLytroの買収交渉に入っていると報じました。ライトフィールドとは記録された空間を動き回ることが可能になる技術で、実写VRコンテンツ制作における次世代技術と目されています。

「動き回れる」ライトフィールドは実写VRの次世代技術

Lytroは、ライトフィールドを記録するライトフィールドカメラを開発しているスタートアップです。同社はライトフィールドに関する59もの特許を保有しています。2017年2月にはシリーズDラウンドで6,000万ドル(約63億円)の資金調達を行い、これまでの累計調達額は2億ドル(約211億円)に達します。2017年2月時点の評価額は3.6億ドル(約380億円)でした。

現実の空間を撮影した360度写真や動画では、頭の向きを動かすだけで、その中を動き回ることはできません。しかし、空間そのものを記録することで、奥行きのある360動画が可能になると同時に、実写空間の中で身体を動かす体験が可能になります。

ライトフィールド撮影技術は、光の経路に関する情報をさらに詳しく取得する撮影技術です。従来の写真撮影では光がセンサーに当たったかどうかという情報を2次元で取得しますが、ライトフィールド撮影では光の入射方向や距離を取得することで奥行きのある「空間そのもの」を記録できます。

同社のライトフィールドカメラImergeで撮影された実写のVRコンテンツでは、前後上下左右1m四方程度を動き回ることができます。



買収の詳細は不明

TechCrunchは今回の買収に関する情報を「複数の情報筋より入手した」としています。買収額は4,000万ドルから2,500万ドルまで諸説あり、中には「資産(主に特許のことを指すと推測)売却」と言う情報提供者もいるとのこと。これまでの調達額と噂されている買収額を比べると、この買収がLytroとこれまでの出資者にとって成功したイグジットとは程遠いものになっていることが分かります。

今回の買収に関して、Lytro、グーグル、そしてLytroの出資者は何ら情報を明らかにしていません。

先日、グーグルはライトフィールド技術を使ったVRコンテンツを公開し、実写のVRコンテンツの将来の形として、ライトフィールドを記録することで「動き回ることができる」ようになることを示しました。

フェイスブックやインテルといった企業も同様に「奥行きのある実写VRコンテンツ」制作のための機材や技術の研究開発を行っています。

買収に関する情報が今後明らかになるのか注目したいところです。


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