テキサス州のオースティン発のスタートアップWIN Realityは、ピッチングシミュレーション「WIN Labs」をメジャーリーグに提供しています。
設定通りのピッチングが見れる
「WIN Labs」は専用の筐体を伴うVRピッチングシミュレーターで、プレイヤーはバッターボックスに立ち、そこから設定した通りのピッチングを見て体験することが出来るシステムとなっています。
シミュレーションは、ピッチャーの予備動作からスタート。設定した内容に応じたピッチングが行われ、ボールの軌跡も表示されます。実際の投球においては、ボールのスピンを見て取ることも重要ではありますが、現段階ではまだ「WIN Lab」はスピンの描画に対応していません。
WIN Realityはソフトウェアを、マイナーリーグ向けには年間2万5000ドル、メジャーリーグ向けには年間数十万ドルで提供しています。これにはエンジニアらによる日々のサポートといった、サービス費用も含まれているとのこと。
ニューヨーク・メッツも設置
ニューヨーク・メッツは、2019年春季トレーニング時に傘下のマイナーリーグのチームにおいてVR機器の導入を試験し、4月後半からメジャーリーグのチームにも導入しました。現在では、ホーム球場であるシティ・フィールド内にあるバッティングセンターの近くに「WIN Lab」が設置されています。
同チームの複数の選手が言うには、トッド・フレイジャー選手が最も頻繁に「WIN Lab」を活用しているとのこと。試合に臨む前に、VR上でピッチングを眺めておくことで、実際の試合で同様の投球が来たときにも落ち着いて対処が出来るようになる、と本人は語っています。事実、このシミュレーションを練習に取り入れるようになったおかげて、成績が向上している(※)、とも述べています。
※編集注:Mogura VR News編集部にて調べたところ、トッド・フレージャー選手の2019シーズンの6月18日時点の打率は.258と2018年の.213に比べ好調(出典:Sportsnavi)
需要の高まるVRシミュレーション
その他、複数の選手からもVRによるシミュレーションを練習に取り入れているという声が挙げられています。今では、メジャーリーグの約3分の1のチームがWIN Realtyによる機器とサービスを取り入れている模様。昨年までは、同社は主要顧客を1つ抱えるのみであったことからすると、わずかな期間で大きな飛躍を実現しました。
(参考)Newsday