自分の全身とバーチャルなアバターの動きを同期させるフルトラッキングデバイス。現在は「mocopi」や「PICO Motion Tracker」など、お手軽に体験できる機器も増えていますが、その状況の中であらためて気になるのが「VIVEトラッカー(Ultimate)」です。センサー3つセットで100,700円(税込)と、比較的高価な機器ですが、トラッキングの精度が高く、VR空間でのダンスパフォーマンスを実現したいユーザーに人気が高い印象です。
今回は「VIVEトラッカー(Ultimate)」を実際に体験し、実際の使い心地はどうなのかを検証。さらに他のトラッキングデバイスとの比較もまとめてみました。
実際に試して分かった魅力と課題
「VIVEトラッカー(Ultimate)」は、手のひら大の大きさで、重量は94gと重みは感じない程度です。バッテリーは約7時間持続。表面の両サイドに広視野トラッキングカメラが2つ付いており、このカメラを使って位置を割り出しています。
1つのドングルで最大5点トラッキングすることができます。トラッカーの接続に必要なドングルや、充電のケーブル等が同梱されています。
こちらは性能が段違いです。トラッキング精度は非常に良く、足を動かしても膝があらぬ方向へ曲がらず、現実の足の動きと同じように綺麗に動かすことができました。やや早い動きも捉えることができたので、蹴りやダンスのステップもできました。遅延も少なく非常に良いデバイスだと思います。この点は「mocopi」や「PICO Motion Tracker」といった比較的安価なデバイスよりも上回っているでしょう。
さらにVIVE製ヘッドセット以外のSteamVR対応ヘッドセットと合わせて使うことができます。すでにVIVEシリーズ以外のヘッドセットを持っている場合でも「VIVEトラッカー(Ultimate)」を購入すれば、使用できる可能性があります。使い慣れたヘッドセットと高性能のトラッカーを組み合わせる事ができるのはとても魅力的です。
ただし、セットアップはやや手間がかかります。トラッカーのペアリング時にトラッカーを持ち、上下左右に向けて周りを認識させる手順があります。これを立っている位置の前後左右に行い、さらに人の胸ほどの高さと足元でも同様に認識させます。
また、トラッキング調整が必要となってくる場合もあります。コントローラーと一緒にトラッカーも持ち、横八の字にゆっくりと動かすことがあり、(環境にもよりますが)30秒ほど動かし続ける必要があるので、少々しんどいと感じる時があります。
「VIVEトラッカー(Ultimate)」は、外部センサーのベースステーションを必要としない分、単体での購入や使用時のお手軽さはありますが、初回の設定が手間になりそうです。しかしこの使用感はその手間を遥かに上回るものと言えるでしょう。
ちなみに、足腰に付けて使う場合は、別途「VIVEトラッカー(Ultimate)用ストラップ + Dance Dash ゲームキー」の購入が必要です。価格は、8,800円(税込)。マジックテープが長く、しっかり固定でき、外れにくいです。トラッカーの着脱もボタンを押すだけのため簡単です。
各トラッキングデバイスと比較してみる
先月バージョンアップされたばかりのSONYのモーションキャプチャー「mocopi」と、9月に発売されたとても使いやすい「PICO Motion Tracker」を比較します。
先述した通り「VIVE トラッカー(Ultimate)」の性能は非常に良く、サードパーティー製のSteamVR対応ヘッドセットにも対応しているため、とても有用なトラッカーであると言えます。今回比較する中では断トツで精度が高いです。しかし値段は約10万円と、性能に見合っていますが、とても高価です。対して、「mocopi」は44,000円、「PICO Motion Tracker」は11,800円と比較的安価になっています。セットアップについても、やや手間がかかるため使い始めは一苦労するかもしれません。しかしそこを乗り越えて、最高のフルトラッキング体験ができることは素晴らしいところです。
一方「mocopi」は、先日PC向けアプリ「mocopi VR」がリリースされ、SteamVRへの接続が可能になりました。またアルゴリズム刷新により、トラッキング性能も向上しています。今までVRChat等で使用するとトラッキングが外れることが多かったのですが、かなり軽減。遅延も少なくなっています。また、VR機器との併用のみならず、単体でモーションデータの保存や、アバターをインポートさせて動画素材も撮影可能です。VTuberが使用する例も多く、上半身集中モードと呼ばれるバストアップの画を撮りたい場合に重宝する機能もあります。日本生まれのデバイスのため、自然な日本語で、分かりやすく設計されたUIで使いやすいです。しかし「mocopi」の使用にはスマートフォンの設定が必須です。
「PICO Motion Tracker」は、「mocopi」よりもさらに安価な11,800円(税込)です。しかし、「PICO Motion Tracker」は、PICO系のヘッドセットでしか使用することができません。対応機種は4種類となっています。しかし、セットアップも非常にお手軽で、トラッカーをヘッドセットにペアリングして、足に巻き、下を向くだけ。筆者が初めて使ったときかなり驚きました。また、「PICO Connect」というPC接続アプリを使えば、SteamVRのゲームも遊べます。注意点として、仰向けに寝るとズレていくことが確認されており、トラッキング精度は良いものの完璧とまではいきません。また、PICOストアでモーショントラッキングに対応したアプリもまだ少ない状況です。また「PICO Motion Tracker」は2個セットでの販売になっているため、3個目が欲しい時には、もう1セット買う必要がある点は覚えておきましょう。
それぞれのトラッキングデバイス3つのどれを選ぶかは、主な使用用途によって変わると思われます。
VRChat等で高精度なフルトラッキングで遊ぶことに力を注ぎたい方は「VIVE トラッカー(Ultimate)」を、VTuber活動などの用途も複合的に想定している場合は「mocopi」を、とにかくコストを抑えたい方は「PICO Motion Tracker」を選ぶのが良いかと思います。
トラッキングデバイス比較表
| VIVE トラッカー(Ultimate) | mocopi | PICO Motion Tracker | |
| 価格 | 100,700円(税込) | 44,000 円(税込) | 11,800円(税込) |
| 対応ヘッドセット | VIVE Focus Vision VIVE Focus 3 VIVE XR Elite サードパーティ製SteamVR対応ヘッドセット |
SteamVRに対応したVRヘッドセット | PICO 4 Ultra PICO 4 Pro PICO 4 PICO Neo3 |
| 点数 | 5点 | 6点 | 3点 |
| トラッキング | 6DoFインサイドアウトトラッキング 広視野トラッキングカメラ×2 |
6DoF | 6DoF 加速度計 ジャイロスコープ 地磁気センサー アクティブ赤外線センサー |
| 寸法 | 77mm×58.6mm×27.3mm | 32mm×11.6mm | 38.5mm×15.2mm |
| 重さ | 94g | 8g | 約27g(編集部計測) |
| バッテリー容量 | 最大7時間 | 最大約10時間 | 連続使用で25時間 |
| セットアップの手間 | △ | 〇 | ◎ |
| その他 | 防水(IPX5/IPX8)、防塵(IP6X) |


