Home » PC版「VRChat」のハンドトラッキング機能(β版)を試してみた 導入&調整方法も解説


VRChat 2024.08.05

PC版「VRChat」のハンドトラッキング機能(β版)を試してみた 導入&調整方法も解説

ソーシャルVR「VRChat」のPC版が、ハンドトラッキングに“正式”対応しました(現段階ではβ版)。ハンドトラッキングは、手を使ってゲーム内の操作を行うシステム。コントローラーを使用せずに、自分の手を、そのままアバターの動きに“同期”することができます。

本記事では、アップデートで導入されたPC版ハンドトラッキングをテスト。Meta Questを「Virtual Desktop」でPCと接続し、同機能を試した感触をレポートします。

そもそも「VRChat」は以前からハンドトラッキングに対応済みですが、“正規に”使用できるのはMeta Quest版に限定されていました。

実は、PC版でも「Virtual Desktop」で接続すれば、エミュレート機能を通じてハンドトラッキングを使用できましたが、このシステムは「Virtual Desktop」側で、VALVE INDEXコントローラーの動きを再現する仕組みで、「手を広げる」といった一部動作が反映されない課題がありました。今回のアップデートで、より細かな動きができるようになった形です。

事前準備

最初の注意点として、「Virtual Desktop」でQuestのハンドトラッキングを使用する際は、まず事前にオプションの「Forward tracking data to PC(トラッキングデータをPCに送る)」を有効にしておく必要があります。


(この項目を有効化)

また「VRChat」のβ版アップデートを適用するために、Steamの「VRChat」のプロパティから“Open Beta”を選択しましょう。

正しくアップデートが適用された後に「VRChat」を起動すると、ロード中に両手がグローブになったようなグラフィックが表示されます。この状態であれば、ハンドトラッキングは有効です。

実際にやってみた

ハンドトラッキング状態では、アバターの指をすべて“そのまま”動かすことができます。例えば設定メニューには、左手の親指と人差し指で輪っかを作ることでアクセス可能。ジャンプや移動、視点操作といった動作も、指で特定のサインをすると行えます。


(左手の親指と人差し指を作ると、メニューにアクセスできることを示すアイコンが表示)

アバターの手を表示したり、実際の手の動き(グローブ)を上書き表示したりも、オプションから選べます。これは「アバターの手の動きが完全に一致しない場合がある」ことへの対策。後者を選んだ場合、やや没入感は落ちますが、動作のリアル感は高まる印象です。


(アバターの手を表示した状態。没入感は高いですが、場合によっては“違う”動きをすることも)


(グローブモードの画像。動きは忠実になりますが、アバターの手とは異なるグラフィックが表示されます)

なお、ハンドコントローラーを併用したい場合は「Finger Tracking Exclusive Mode」をオフにすると、コントローラーを握った際にハンドトラッキングが無効化され、コントローラー操作に切り替えることができます。


(このボタンを選択すると、「Finger Tracking Exclusive Mode」を切り替え可能)

筆者は以前から「Virtual Desktop」のエミュレート機能を使ってハンドトラッキングを使用していたのですが、今回の更新後、より手の動きの精度が上がった印象を受けました。特に「手を広げるモーション」が割と反映され、無意識な手の動作に合わせてアバター側の手が開いたときは、かなりの没入感があります。


(オプションでPinch UIを有効にすると、指先に青い球体が表示され、ハンドサインが作りやすくなります)

ただ、すべての操作を指だけで行えるのは便利なものの、(コントローラー操作と比較すると)やや不安定であると感じました。カメラと手の位置によってはハンドサインを作っても認識されず、何度か繰り返してやっと機能することもありました。このあたりは公式の調整が待たれます。

またメニュー操作の際、ハンドコントローラーと比較すると「腕を大きく動かす」必要もあります。コントローラーでは、手首の角度を変更するだけでポインターの位置を変えることができましたが、(恐らく)ハンドトラッキングではジャイロセンサーが使えないことから、このような仕様になっていると思われます。

オススメなのは、「Finger Tracking Exclusive Mode」を無効化して、メニュー操作はコントローラーで行いつつ、使いたいときだけハンドトラッキングを使用するという“プレイング”です。細かい操作でストレスを感じずに、機能のメリットを最大限活かせるからです。

ちなみに、コントローラー操作からハンドトラッキングに切り替わるまでの待ち時間も、更新によってかなり短縮されています。

「VRChat」アバターの多くには手があり、ハンドトラッキングの有無で没入感は大きく変わります。「手を合わせる」「拍手」といった、コントローラーだと難しい動きもハンドトラッキングなら簡単に可能。特にPC版は、Quest版やモバイル版と比較して“ヘビーユーザー”も多く、ハンドトラッキングの本格実装は嬉しいアップデートではないでしょうか。


(こんな感じで操作したい…! というイメージ)

個人的には、Questのホーム画面のように、メニューをタッチ(触る)ことで各ボタンが反応するようになれば、よりスムーズかつ快適に操作が可能になると感じました。今後のアップデートに期待したいところです。

執筆:井文


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード