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活用事例 2020.07.22

ペンひとつで動きを産業用ロボに記録、SteamVRのトラッキングを応用

PCゲーム配信プラットフォームSteamを運営するValve社は、VRゲーム等で用いる独自のトラッキングシステムを手掛けています。このトラッキング技術を、VR以外に利用したツールが注目を集めています。手に持って動かすだけで、その通りの動作を産業用ロボットへ記録できる、ペン型のツール「TracePen」です。

Steamの位置トラッキング技術

SteamVRのトラッキングシステムは、HTC VIVEなどで使われています。このシステムでは、体験エリアの周囲にベースステーションを配置。ベースステーションから発したレーザーを受ける受光部がヘッドセットに内蔵されており、位置を認識(トラッキング)するというものです。その結果、プレイヤーは部屋の中を自由に動き回ってVRコンテンツを体験できます。

ペン型ツールで“プログラミング”

TracePenは、ドイツ企業Wandelbotsの開発したシステムです。産業向けロボットのプログラミングプロセスを効率化、簡略化することを目指しています。プログラミング工程へのハードルを下げることで、最終的にはロボットオートメーションのより広い導入を促します。

システムは、SteamVRのトラッキングセンサーを搭載したペン型ツール、そして2つのベースステーションで構成されています。ユーザーはベースステーションを設置し、ロボットにペン型ツールを装着。初期設定を行います。その後ペン部分を、ロボットにプログラムしたい動作通りに動かせば完了です。ロボットは決められた動作を記憶し、以降はツールを搭載していなくても再現できるようになります。

従来このようなプログラミングを行う際は、ロボットの遠隔操作や、アームを動かすための前後左右の動きのインプットが必要でした。しかしSteamVRのシステムは誤差1mm以下というより高精度でTracePenをトラッキングし、ペン部分を動かすという簡単な動作でプログラミングを実現しています。

また、さらに精度の高いモーションキャプチャーシステム「OptiTrack」等に比較するとコストも低く、産業向けにも導入しやすい点が特長です。

Wandelbots社は6月に3,000万ドル(約32億円)の資金調達を実施。一層の事業の拡大を目指しています。

(参考)Road to VR
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