国家資格に対応したドローン操縦訓練用のVR・MRシミュレーター「Drone X Trainer」が登場しました。このシステムは、国土交通省登録講習機関である日本無人航空機免許センター株式会社(JULC)と、XRソリューションを展開する株式会社積木製作が共同開発したもので、時間や場所に縛られないXRドローン研修を実現しています。
「Drone X Trainer」は、「二等無人航空機操縦士」の実地試験実施細則に沿った内容を仮想空間上で忠実に再現したドローン教習システムです。このシミュレーターは、VRヘッドセットを使用して高精度なドローン操縦シミュレーションを提供し、実際のドローン操縦と同様の感覚で訓練できることが特徴です。
システムの開発背景には、産業界におけるドローン利活用の拡大と、それに伴う操縦スキルを持つ人材育成の急務があります。従来のドローン操縦訓練では、講師資格を持つ人材の確保や実機を用いた操縦訓練のスペース確保などが課題となっていました。「Drone X Trainer」は、これらの課題を解決するために開発されました。
本システムの特徴は以下の通り:
- 国家資格「二等無人航空機操縦士」に特化: 実地講習での学習内容を、飛行前点検の段階から忠実に再現しています。機体の外形確認からプロペラ・バッテリーの装着、プロポの動作確認など、細かな操作も再現されています。「スクエア飛行」、「8の字飛行」、「異常事態における飛行」など、実際のコースを再現しており、本番に限りなく近い環境での体験が可能です。
- 効率的な学習支援: 体験中に通った飛行ルートをVR空間上で立体的に表示することで、操縦位置からのドローンの見え方やドローンとの距離感をより正確に把握することができます。これにより、効率的な学習を促進することが可能となっています。
- 天候や時間帯に左右されない訓練: VR空間内で訓練を行うため、従来のような広大な空間を必要としません。夜間や目視外などの条件下での訓練も、屋内の限られたスペースで実施可能です。
- MR技術の活用:MRヘッドセット「 Meta Quest3」に搭載されたカラーパススルー機能を使用することで、現実空間に仮想のコースやドローンを投影して訓練することも可能です。これにより、周囲の状況を確認しながら操縦訓練を行うことができます。
価格は年間66万円(税込)のライセンス料方式。VRヘッドセット1台につきライセンス料が発生します。
「Drone X Trainer」の開発には、元DJI JAPANオフィシャルパイロットでありJULCセンター長の中村佳晴氏を中心に、多くのドローンスクール講師が監修として参加しました。このことにより、リアルな操作感と限りなく現実に近いドローンの操縦体験を提供し、安全で効率的なスキルアップに貢献することが期待されています。
今後の展開について、二等無人航空機操縦士 限定解除、一等無人航空機操縦士 実技試験などコンテンツも追加予定とのこと。全国のJULC教習所にて「Drone X Trainer」を体験できる機会やカリキュラムへの採用を拡大していく方針です。