VRゲーム「Virtual Virtual Reality」開発で知られるTender Clawsが、労働組合結成に動いています。米国で広がるゲーム業界の雇用環境改善への取組は、新興のVR産業にまで及んでいるようです。
経営層も労組結成を支持
Tender Clawsは、2014年創業のVRコンテンツスタジオです。VRの中でVRを体験するゲーム「Virtual Virtual Reality」やその続編の他、演劇体験ができるアプリ「The Under Presents」などのユニークな作品を出しています。
メディアPolygonによれば、同スタジオはアメリカ通信労働組合(CWA、Communications Workers of America Union)への加盟を手続き中です。組合員は少なくとも13名以上を見込んでおり、全員が今回の取組には賛同しているということです。
またTender Clawsの共同創業者であるDanny Cannizzaro氏とSamantha Gorman氏は、「労働組合は間違いなく、我々の組織内外にポジティブな影響を及ぼすでしょう。我々は組合の結成を認め、そのメンバーと働くことをとても嬉しく思います。そして共に、Tender Clawsをできるだけ良い働き場所にしていきます」とコメントしました。
雇用環境の問題が顕在化
米国のゲーム業界において、労働組合の組織化は進んでおらず、非常に新しい流れです。ビデオゲーム業界で初の組合結成は、2021年のVodeo Gamesによるものでした。Activision Blizzard(2022年1月にマイクロソフトが買収)などが、これに続いています。
その背景には、欧米のゲーム業界における雇用環境の問題が顕在化していることがあります。例えば2022年3月には、Activision Blizzard元従業員の両親は、娘の自殺についてハラスメントなどの疑いで訴訟を起こしています。また任天堂の北米支社は、“労働組合を結成する権利を侵害した”として全米労働関係委員会(NLRB)に申し立てられました。
International Game Developers Associationの調査によれば、ゲーム業界の労働者で労働組合を支持する割合は2009年には3割程度。それが2021年には、78%が労働組合について賛同しているということです。
(参考)Polygon