ベルギーのテック企業Swave Photonicsは、AIを活用したスマートグラスやHMD向けのコンポーネント開発に向けて、2,830万ドル(約41億円)の資金調達を実施しました。同社は、独自のホログラフィー技術を用いて、現実世界との自然なインタラクションを実現する次世代ARデバイスの開発を目指します。
今回の調達はシリーズAラウンドで実施されました。Imec.xpandとSFPIM Relaunchが共同で主導し、EIC Fund、IAG Capital Partners、Murata Electronics North Americaなどの新規投資家に加え、既存投資家のQbic Fund、PMV、Imec、Luminateが参加しました。
Swave Photonicsは同社が「世界最小のピクセル」と謳うNanoPixel Holographyという技術を用いて、高品質な3Dホログラフィック画像を投影する要素技術開発に取り組んでいます。また「DynamicDepth」と呼ぶ特許取得済みの技術も組み合わせることで、人間の視覚が自然に処理できる画像を実現し、現在市場で課題となっている「デバイスの高コスト」「不快な重量感」「大きな消費電力」「輻輳(ふくそう)調節の矛盾による疲労や酔い」などの解決を目指しています。
2023年には1,047万ドルのシード資金調達を実施しており、その資金を活用してHXR(Holographic eXtended Reality)技術プラットフォームの立ち上げや、半導体分野の専門家チームの拡大を進めてきました。今回の調達資金は、AR体験の課題解決に向けて製品化を加速するために活用されます。
同社の最高製品責任者Theo Marescaux氏は、「ARグラスは、AIを活用した空間コンピューティングなどのアプリケーションの主要なインターフェースになる」とコメント。ホログラフィックSLM(空間光変調器)から、リアルタイムコンピューティングチップ、ライトエンジン、ARコンバイナーまで、すべての要素を一貫して設計することで、最先端の統合ソリューションの提供を目指すとのことです。
同社は10年以上にわたり技術開発を続け、現在60件の基幹技術特許を保有しています。2024年4月にHXRプラットフォームを発表し、世界初となるカラーホログラフィックディスプレイを実現。CES 2025では、この技術がCESイノベーションアワードを受賞することが決定しています。
(参考)Swave、VentureBeat