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開発 2019.10.02 sponsored

VRで魅せる銅版画の世界。VRプラットフォーム「STYLY」で、他ジャンルとコラボする(後編)

前編では、VRプラットフォーム・STYLYについてご紹介させていただくとともに、「オーセンティックでアナログな表現を突き詰める銅版画家・野瀬昌樹氏と、デジタル表現の最前線にあるVRとのコラボレーションはどうなるだろうか?」という、VR空間制作について書かせていただきました。

後編では本格的にVR空間を作り上げ、そしてVRコンテンツアワード「NEWVIEW AWARD 2019」に応募するまでをご紹介します。

VR空間の真実味を出すために実際に山登りへ同行

野瀬氏は自然とアニミズムを題材にするがゆえに、数多くの山へ登るフィールドワークを重ねています。今回、VR制作をやるというお話から自分もその空気感を味わっておいたほうが良いと思い、東京の西に位置する御嶽山への登山に同行しました。


(御嶽山へ。途中、霧が立ち込めて先が見えなくもなったりした)

「今回は簡単なルートでいくけれど、雨が降るかもしれないし、慣れていないと危ないかもしれない」と野瀬氏に教えてもらいながら当日を迎えました。幸いにも雨には降られなかったものの、ずっと曇りで、登山中には霧が立ち込めます。なかなかハードな登山になりながらも、同時に幻想的な風景だな……とも。

さて、無事に下山し、帰宅して考えたのは「この経験・体験を、そのままVRに持っていけばいいのではないか?」ということでした。


(木々の写真をWindowsに実装されているフォト編集で簡単に調整する)

そう、STYLYでは写真もアップロードしてそのまま空間にしてしまえるのです。山で撮った写真を、野瀬氏の版画のテイストに合わせて編集を施し、そのままSTYLYにアップロードすることで、そのまま世界観のひとつにすることができるんですね。


(登山のちょっと怖い経験をそのままVRの背景に入れ込む。)

こんな感じで、「SKYBOX」という3Ⅾ空間全体の背景に写真を設定することで、他のユーザーにも登山中に霧の中に包まれていくような体験を味わってもらおうかと思います。

写真から3Ⅾモデルを生み出す技術「フォトグラメトリ」

現実で見たものをそのままVRに持ってくるのに便利なのは、なんといっても写真。2019年の今なら、写真から3Ⅾモデルを生み出すことさえできます。

野瀬氏が2015年に参加した、中之条ビエンナーレの展示「マレビト」で使用した、「森の人」と呼ばれるキャラクターに、今回のVRでは登場してもらいます。そのための技術として「フォトグラメトリ」を利用しました。

(360度から撮影し、正確な3DCGモデルにする。)

フォトグラメトリとは、一言で言えば写真から3ⅮCGモデルを生み出す技術です。被写体を、左右上下360度の方向から撮影し、専用のツールに写真を取り込むことで3DCGモデルを作成することができるのです。身近なものから、建物のように大規模なものまでモデルにできる技術であり、最近でも観光地をまるごとVRにした「銭洗弁天VR」が話題になりました


(3DF Zephyrによる編集画面)

今回はフォトグラメトリツールのひとつ「3DF Zephyr」を使用しました。こちらは無料で使用でき、取り込める写真の枚数は50枚に限定されているものの、小さなものであれば3DCG化は十分可能です。

(フォトグラメトリによって、このように3DCGモデルになりました! モデルのデータはSketchfabに)

こうして「森の人」を3Ⅾモデルにして、VR空間に登場させる段取りは整いました。出来あがったモデルはそのままSTYLYにアップロードすることもできますが、ここはもう少し調整を加えることにします。

ゲームエンジン「Unity」と連携することで、さらに深いクリエイトも

そう、STYLYはゲームエンジンのUnityと連携することで、3Dモデルをさらに細かく作り込むことができるのです。Unityでは3Ⅾモデルの質感や見た目を変更するシェーダーを調整することができるほか、アニメーションをつけることもできます。

ここでは、野瀬氏の銅版画が生み出すテイストにシェーダーを調節しなおし、「森の人」をより生きたキャラクターへと仕上げるため、息づくようにしたり、ジャンプしたりする簡単なアニメ―ションをつけていきましょう。

Unityでアレンジした3DCGモデルは、STYLYのプラグインからアップロードできます。これでより「森の人」を細かく仕上げることができました。

>空間を彩る音楽も作りだす

VR空間でもやっぱり無音というのは寂しい。さて、なにかBGMをつけられないでしょうか? STYLYでは、mp3ファイルから音源を使うだけではなく、Soundcloudの音源やYoutubeの動画を引用することで、華やかな音楽を流すこともできるのです。

野瀬氏は自分の趣味や、版画のイメージも含め、音楽ではアンビエントやミニマルのジャンルを好んでいるという話をしておりまして、「テリー・ライリーはいいよね」みたいな話から東欧のアーティストの音楽についてよく聞いたものでした。

「じゃあ今回のVR空間でも、それに近い楽曲で彩ることができればいいんじゃないか?」ということでスマホアプリの「KORG Gadget Le2」でざっくりと楽曲を制作します。こちらのアプリでは制作した楽曲をそのままSoundcloudにアップロードすることができるため、STYLYへ自作の楽曲を持ってくるのも簡単です。

完成・そしてNEWVIEW AWARD 2019へ!

音楽も付け、ついにVRコンテンツが完成しました。最後にタイトルを決めましょう。これは野瀬氏が2014年に開催した初の個展・「森域(しんいき)」から引用し、「森域圏内」と名付けました。

「森域圏内」はSTYLY Galleryのこちらから体験することができます。(※VRデバイスが無くても、web上でも見ることが可能です)

今回、こちらをSTYLYが主催するNEWVIEW AWARD 2019へ応募しました。果たしてどのような評価となるのでしょうか……? それは今後のお楽しみ。また、この「森域圏内」は、近々行われる野瀬氏の個展でも展示が可能か、現在企画している最中です。

さて、ここまでに使用したツールはすべて無料の範囲で使っています。画像編集ツールはWindowsに実装されているものを利用し、ゲームエンジンのUnityから音楽制作に使ったKORG Gadget le2などもそうです。もちろんVRプラットフォームである「STYLY」も。

このようにあまりコストをかけず、ハードルを下げたところからクリエイティブを可能にするのもSTYLYの大きな特徴だといえるでしょう。もしVR制作にご興味を持たれましたら、ぜひ。STYLYはこちらから登録が可能です。

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