カナダのXRソフトウェア開発企業OVAは、VRトレーニング「StellarX」を鉄鋼業界向けに提供開始しました。「StellarX」では危険を伴う製鉄所での作業トレーニングをVR空間で安全に実施できます。初期の導入結果では、作業者の業務遂行に対する自信が90%以上向上したことが報告されています。
XR技術を活用した教育・トレーニング分野への取り組みが世界的に加速する中、OVAは産業向けVRトレーニングプラットフォーム「StellarX」の新たな導入事例を発表しました。本発表では、世界第2位の鉄鋼メーカーであるArcelorMittalが、カナダ国内の製鉄所での従業員トレーニングに「StellarX」を採用したことも明らかになっています。
「StellarX」は、AIとXR技術を組み合わせた没入型プラットフォームです。同プラットフォームでは、ユーザーがノンコードで独自のトレーニングコンテンツ作成できる機能を提供しており、VRヘッドセットやデスクトップPCから利用できます。
Unityを使用して作られていますが、ユーザー自身は3Dモデルを組み合わせ、ノードと呼ばれるものを繋げて、プログラミングをすることなく、トレーニングの一連のシナリオを体験型コンテンツとして作成することができます。3Dモデルはプリセットのものもあればインポートも可能。HTC、Varjo、Alienwareなど、XR業界の主要企業とのパートナーシップを通じて開発された同プラットフォームは、特に産業分野での実践的なトレーニングに注目し開発されました。
開発元のOVAは、2014年にカナダで設立されたXRソフトウェア開発企業です。同社は「誰もが利用できる倫理的で人間的な没入型体験を創ること」をミッションに掲げており、カナダ国内の複数の研究機関との協力を通じてプラットフォーム開発を進めています。現在は、モントリオール、ケベック、オンタリオなどカナダ国内の主要都市に拠点を構え、テクノロジー専門家やアーティスト、ストーリーテラーなど多彩な人材が所属しています。
今回の事例では、ArcelorMittalの実際の製鉄所環境を3Dで再現し、爆発や機器の故障など、現実では危険を伴う様々なシナリオをVR空間で安全に体験できる環境を構築しました。従業員は専門的な作業手順や緊急時の対応手順を、リソースを最小限に抑えながら何度でも練習することができます。また、誤った判断や手順違反がどのような結果をもたらすかを体験することで、より印象的な学習効果が得られるとしています。
ArcelorMittalのシニア安全アドバイザーであるFrancis Perreault氏は、「生産の停止はバリューチェーン全体に影響を与えます。StellarXを使用することで、メンテナンスや緊急時の手順を効率的に練習し、生産停止を最小限に抑えることができます」とコメントしています。導入から3ヶ月で業務遂行への自信が90%以上向上するなど、高い効果が報告されており、ArcelorMittalは今後もStellarXを活用した新たなプロジェクトの展開を計画しているとのことです。
(参考)StellarX