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ゲーム・アプリ 2021.08.12

Valveが「Steam Deck」のカスタムAPUについて意味深な返答。将来的には一体型VRヘッドセットに搭載?

Valveが発売予定の携帯ゲーム機「Steam Deck」のハンズオンイベントにて、Valveはとある質問に、非常に興味深い回答を行っています――「Steam Deckのハードウェアは、一体型VRヘッドセットのような環境でも、うまく動作するだろう」と。

直接言及は避けるも、「そうした環境でもよく動作する」

2021年8月6日、米メディアThe VergeはSteam Deckのハンズオンレビュー、およびValveの「ベテラン」であるGreg Coomer氏へのインタビューを掲載しています。The Vergeの記者であるSean Hollister氏は、このインタビューの中で「Steam DeckのカスタムAPUは、一体型VRヘッドセットでも使えるのか?」と質問。Coomer氏はこれを「愛すべき質問」としつつ、以下のように回答しています。

我々はそれ(一体型VRヘッドセット)について何も言えませんが、Steam Deckのハードウェアは、そのような環境で要求されるTDPでうまく動作するでしょう……それは我々の将来のプランに非常に関連しているのです。

Coomer氏の回答にある「TDP」は、「Thermal Design Power」の略語。日本語では熱設計電力と訳され、半導体が理論上どれだけ放熱するかを表す指標です。スマートフォンや一体型VRヘッドセットのようなデバイスでは、オーバーヒートやバッテリーの枯渇を防ぐため、原則として低TDPが必須です。

Coomer氏の回答からは、Valveが将来的に一体型VRヘッドセットを発売する可能性に加え、TDPの問題を解決するために何らかの手段を講じている可能性をも読み取れます。

なお、現時点では、Valveが実際に一体型VRヘッドセットの開発を進行中なのかは定かではありません。他方、2021年3月には一体型VRヘッドセットの開発を示唆する特許が確認されるなど、「それらしい」情報が徐々に判明しつつあります。

ValveはAMDのカスタムAPUを搭載したVRヘッドセットの夢を見るか?

2021年8月現在、一体型VRヘッドセットには、チップセットとして半導体大手クアルコムの「Snapdragon」シリーズを組み込むことが半ば標準化しています。しかし、Valveのデバイスにこのチップセットが導入される可能性はなさそうです。Snapdragonでは、Steamで販売されているPC向けVRゲームを描画するにはハードウェアスペックが到底足りません。仮にSnapdragonを搭載したデバイスを発売し、さらにSteamを「PC向け」と「モバイル向け」に分割、それぞれに異なるゲームを提供することは可能かもしれませんが、Valveがこれを行うインセンティブは(特にSteam Deckを発表した今では)低いでしょう。

現時点で最も可能性が高いアクションは、やはりカスタムされたAMD製APUを一体型VRヘッドセットに組み込むことであるように思われます。ただし、Valveは発表当初から「Steam Deck」では、ハイエンドのVRゲーム(Half-Life: Alyx)を動作させるのは難しい、と示唆してきました。上述のTDPの問題と、VRゲームの対応範囲やグラフィッククオリティをどのように定めるのかは、大きな課題となりそうです。

VALVE INDEXのリリース以降、大きな動きのないValveのVRデバイス。Oculus Quest 2が大きな成功を収めるなかで同社はどう動くのか。今後の展開を注視していきたいところです。

(参考)Road to VR

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